フキバッタ

改訂新版 世界大百科事典 「フキバッタ」の意味・わかりやすい解説

フキバッタ

直翅目イナゴ科中のフキバッタ類の昆虫総称,またはそのうちの1種を指す。イネ科植物の葉を食べるバッタ類が多い中で,この類は双子葉の草本類の葉を食べ,しかも食する葉の色とよく似た色彩の,鮮やかな緑色の体色をもつ数属からなるグループである。世界に多くの種が分布するが,日本にはフキバッタ属,ハネナガフキバッタ属,カラフトフキバッタ属などが見られる。いずれも体長20~30mmの中型のバッタで,ハネナガフキバッタ属のほかは,いずれも翅が短かったり,なかったりする。フキバッタParapodisma sapporensisは,東北,北海道に分布する。体長20mm内外,翅は痕跡的に退化し,全体が緑色,後肢の腿節下面が黄色いことで他のフキバッタ類と区別される。そのほか,ミヤマフキバッタP.mikado,ハネナガフキバッタEirenephilus longipennisなどがよく知られる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フキバッタ」の意味・わかりやすい解説

フキバッタ
ふきばった / 蕗蝗
[学] Paraparapodisma sapporensis

昆虫綱直翅(ちょくし)目イナゴ科に属する昆虫。フキやクズなどの葉を食べる鮮緑色の美しいバッタで、いわゆるフキバッタの類の一つ。北海道、東北地方北部に分布する。体長20ミリメートル内外の虫で、雌はこれよりやや大きい。前翅鱗片(りんぺん)状に退化し、後肢腿節(たいせつ)の下面は黄色で、同脛節(けいせつ)は青白色をしている。丘陵地から高山山頂にまで分布し、個体数は多い。

 フキバッタ類は、ほかのバッタ類と異なり、双子葉植物のフキやクズなどを好んで食べ、1齢幼虫は群がっているのが普通である。フキバッタ類、ミヤマフキバッタ類、ハネナガフキバッタ類、カラフトフキバッタ類など、いくつかのグループに分かれる。

[山崎柄根]


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