フザリウム(その他表記)Fusarium

改訂新版 世界大百科事典 「フザリウム」の意味・わかりやすい解説

フザリウム
Fusarium

不完全糸状菌綱に分類される菌類の1属。鎌形~長紡錘形~半月形で,多細胞の大分生子をもち,その基端に柄足細胞がある。このほか,円筒形の小分生子をつくるものもある。植物寄生菌種が多く,立枯(たちがれ)病,根腐(ねぐされ)病,つる割れ病などを起こすが,イネの主要病害の一つで,イネを徒長させる馬鹿苗(ばかなえ)病もこの属の菌による。この馬鹿苗病菌からイネの徒長をひき起こす物質が日本で分離され,ジベレリンと名づけられた。反面,ムギ類赤かび病菌など人体に有毒な成分(マイコトキシン)を生産する種類,目に入って角膜真菌症を起こす種類などもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フザリウム」の意味・わかりやすい解説

フザリウム
Fusarium

不完全菌類モニリア目淡色線菌科のカビ。種類数は確実なものだけでも 30種ほどある。寄生するもの,単独生活するものなどいろいろあり,全世界的に分布している。その分生子は三日月形で,1~数個隔壁を有しているのが特徴であるが,しばしば培養を続けると,このような形でなく簡単な胞子を形成するようになることもある。またジベレラ属 Gibberellaやネクトリア属 Nectriaのある種の分生子の世代はフザリウム型であることは実験的に確かめられている。

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世界大百科事典(旧版)内のフザリウムの言及

【立枯病】より

…土壌病原菌によって植物の全身がしおれ,生気を失って枯れる現象を立枯れといい,根や地際部が侵されて株全体が枯死するとき,また通導組織が侵害されて水分の上昇が妨げられるときに立枯病となる。病原は植物によって異なり,ムギ類ではGaumannomyces graminisが,ダイズ,エンドウ,ルピナスではFusarium oxysporumが,ミツバ,キクではRhizoctonia solaniが病原菌となる。また多くの作物が苗時代にしおれたり,胚軸部が侵されて枯死に至ることがあるが,これは苗立枯病といわれる。…

※「フザリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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