フツウミミズ(読み)ふつうみみず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フツウミミズ」の意味・わかりやすい解説

フツウミミズ
ふつうみみず / 普通蚯蚓
[学] Amynthas communissima

環形動物門貧毛綱フトミミズ科Megascolecidaeに属する陸生動物。名前からすると日本で普通にみられるミミズのようであるが、実際はかなり珍しい種類である。北海道南部、本州、九州に分布し(四国からは正式な記録がない)、生息地では個体数は少なくないが、産地は点在することが多く、けっしてどこにでもみられるというわけではない。和名を与えた東京大学教授の五島清太郎(ごとうせいたろう)がよく訪れた東京大学の小石川植物園(東京)に多産するので、この名がつけられたものと思われる。しかし、個体変異の多いフトミミズ類のなかにあってフツウミミズの形質は非常によく安定しており、3対の受精嚢孔(のうこう)や雄性生殖孔が明瞭(めいりょう)。体長もまた200~250ミリメートルと大形。それらの点でこのミミズはフトミミズの典型的な特徴を備え、その代表的な種類ということができる。ミミズの解剖などで本種が利用されるのはそのためである。落ち葉やごみの下などにみられる。

大野正男


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フツウミミズ」の意味・わかりやすい解説

フツウミミズ
Pheretima communissima

環形動物門貧毛綱後生殖門目フトミミズ科。体長 25cm内外,体節数 100~140。受精嚢孔は第5~8体節間に3対開孔する。雌雄同体で,雄性生殖孔は第 18体節に1対,雌性生殖孔は環帯上の第 14体節に1つ開孔している。北海道函館以南の日本各地に普通にみられる。

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