フランス領インドシナ連邦(読み)ふらんすりょういんどしなれんぽう

山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説

フランス領インドシナ連邦(フランスりょうインドシナれんぽう)
Union Indochinoise Française

1887~1945

インドシナにおけるフランスの植民地統治機構。コーチシナ(ベトナム南部,1874年に直轄植民地),アンナン(ベトナム中部,84年に保護国),トンキン(ベトナム北部,84年に保護領),カンボジア(63年保護国)の各邦により,1887年に成立。99年にラオス(93年保護国)も統合。フランス共和国代表者であるインドシナ総督全権掌握総督府ハノイに置かれた。各邦にそれぞれ行政機関が置かれた。保護国では,王国の宮廷および省レベル以下の現地人機構が植民地官僚機構に従属しながら存続し,二重構造となっていた。ポール・ドゥメール総督(在任1897~1902)の時代に財政的基盤が整備された。ベトナムでは20世紀初頭より近代的な知識人による反植民地運動が展開され,20年代後半に政治組織化された。40~41年には日本軍が進駐し,日仏共同統治体制となる。45年3月の日本のクーデタでフランス領インドシナ連邦は実質的に解体した。同年9月ベトナム民主共和国が独立,46年末から植民地復帰をめざすフランスとの戦争が始まった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフランス領インドシナ連邦の言及

【フランス領インドシナ】より

…これによりプノンペンの理事長官は王の政務全般を監督することとなり,さらに87年以降は財政権をも管理した。87年10月,フランス大統領は植民省管轄のコーチシナ,カンボジア,外務省管轄のアンナン,トンキンを一括して植民省に移管し,あわせてフランス領インドシナ連邦Union de l’Indochine françaiseを形成させ,総督に統轄させることとした。 93年のフランス・シャム条約により,フランスはシャム(タイ)のラオスに対する宗主権を奪っていたが,95年のフランス・ルアンプラバン協定によってフランスのラオスに対する保護権が設定された。…

※「フランス領インドシナ連邦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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