出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ノルウェーの経済学者。経済学へ数理的・統計的手法を導入した先駆者の一人。オスロ大学卒。同大で博士号を取得。イェール大学を含むいくつかの大学の講師を経てオスロ大学教授(1931-65)。1969年に〈経済過程分析のための動学モデルを開発し応用〉することに貢献したことをたたえられ,オランダのJ.ティンバーゲンとノーベル経済学賞を分けあった。彼の業績は一部しか公刊されていないが,公刊されたものの多くは理論経済学,計量経済学,経済計画の分野の古典となっている。論文《動的経済学における伝播問題と衝撃問題》(1933)では,経済を経済量の時間推移を表す定差=微分方程式の体系として分析し,その後の景気変動論や経済成長論に大きな影響を与えた。また,彼の〈意思決定モデル〉やその他の経済計画モデルは第2次大戦後に広く応用された。彼自身,発展途上国(とくにインドとエジプト)の経済計画のアドバイザーとして活躍したこともある。計量経済学の分野では,方法論をはじめとする先駆的業績を残した。エコノメトリックスeconometrics(計量経済学)という名称は彼の命名によるといわれる。
執筆者:西村 清彦
アルプス地域で白亜紀初期~第三紀漸新世の砂岩・泥岩互層堆積物を指して用いられた語。その後,地向斜-造山運動の概念により,地向斜と呼ばれる沈降帯に厚く堆積した海成砕屑岩(さいせつがん)層を一般的に指すようになった。この砕屑相は砂岩と泥岩がほぼ同じような厚さで交互に繰り返す互層で特徴づけられ,全体の厚さは数千~1万5000mにも達する。互層をなす砂岩層は単層の厚さが横方向にほとんど変化がなく,級化層理を示すとともに,堆積時の水流の作用による堆積構造が発達しており,乱泥流によって堆積したとみられている。九州日南海岸の“鬼の洗濯板”で代表される四万十帯の堆積岩はフリッシュの好例である。フリッシュ相は造山帯を特徴づけているが,現在の海洋底では島弧-海溝海域のように地殻活動が活発な地域(造山帯)のみでなく,大河川が開口した構造的に安定な大陸縁辺海域でも大規模な海底扇状地堆積物としてよく発達している。
執筆者:岡田 博有
スイスの作家。チューリヒに生まれ,建築家として社会人生活のスタートをきったが,アメリカとメキシコへの旅行(1951-52)をきっかけに独立の作家となった。現代における罪,権力,正義といったテーマがさまざまな様式によってとりあげられている。たとえば,戯曲《アンドーラ》(1961)では迫害されるユダヤ人に対する一般市民の無力さとその罪を問うている。小説では,さまざまな方法で生きる可能性をもちながら,一つの生活様式しかもちえない人間の限界を好んでとりあげる。社会批判と自己批判とをおりまぜる作風に魅力がある。主要な作品として,戯曲では,《戦争が終わったとき》(1945),《シナの長城》(1947),《小市民と放火犯》(1958),《伝記》(1967),小説では,《シュティラー》(1954),《ホモ・ファベル》(1957),《モントーク》(1975)など。
執筆者:宮下 啓三
オーストリアの動物学者。ウィーン大学で医学を,ミュンヘン大学で動物学を学び,1925年ミュンヘン大学教授に就任。母方の祖父がユダヤ人であったためにナチスから迫害を受けた。ミツバチの感覚生理と行動の研究で知られ,動物行動学の確立者の一人として,K.ローレンツ,N.ティンバーゲンとともに73年ノーベル医学生理学賞を受賞。魚類をはじめ多くの動物について,一貫して感覚生理学的な立場から研究した。とくに,ミツバチがダンスによってみつの場所などを仲間に知らせることの発見,およびそのコミュニケーションの解析の成功という業績は,今なお言語の本性をめぐる哲学的関心をひきつけるなど,その重要性は失われていない。また《ミツバチの不思議》などの啓蒙的な著作がある。
執筆者:小林 伝司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…ただしこれらは,動植物どちらも個体数の増減を基本としたものであった。 動物の行動に注目する研究は,初期(1920年代)のものとしてはK.vonフリッシュによるミツバチのダンスと太陽コンパスに関する研究があったが,K.ロレンツとN.ティンバーゲンによって動物行動学(エソロジー)が基礎づけられた。1973年にこれらの学者に異例のノーベル賞が与えられたことは,この分野の発展を象徴するものであった。…
… ファーブルを代表とする在野の研究者の間に伝えられた行動研究の博物学的な側面は,O.ハインロート,C.O.ホイットマン,J.S.ハクスリーらに受け継がれ,やがて1930年代から40年代にかけて,K.ローレンツによって,動物行動学の理論づけがなされる。そして1973年のローレンツ,N.ティンバーゲン,K.vonフリッシュのノーベル医学生理学賞受賞によって,自然科学としての認知を得た。ローレンツ流の動物行動学は,人間の行動の生物学的基盤を明らかにするという一面があり,ローレンツ自身やD.モリスらの著作は大きな反響を呼ぶと同時に,強い批判をも巻き起こした。…
…経済の諸関係式を量的に計測するために数学や統計学の手法を適用する経済学の一分野。近年は日本でもエコノメトリックス(R.フリッシュが命名)の語が使われることも多い。およそ経済学で扱う概念は,個別商品の需要や供給や価格にしても,社会全体の所得や消費や投資にしても,すべて数量的に規定され計測可能なものである。…
…(1)第1段階(地向斜期) 地向斜と呼ばれる狭長な地帯に緩慢な沈降運動が継続し,その結果,ときには20kmにも達するような厚い堆積岩が形成される。堆積岩は砕屑岩を主体とし,チャート,石灰岩などを含むが,なかでも,この時期の末ごろに多いフリッシュといわれる砂岩,泥岩の規則的な互層が特徴的である。海底火山の活動を伴うこともあって,その場合は玄武岩など塩基性のものが多く,オフィオライトと総称される。…
※「フリッシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
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