日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブラウン(Karl Ferdinand Braun)
ぶらうん
Karl Ferdinand Braun
(1850―1918)
ドイツの物理学者。ヘッセン州フルダの生まれ。マールブルクで学んだのち、1872年棒や弦の弾性振動の研究で学位を取得した。ウュルツブルク、ライプツィヒ、マールブルク、カールスルーエ、チュービンゲンの各大学に勤めたのち、1895年ストラスブール大学の物理学教授・物理学研究所所長となった。1874年鉱物性金属硫化物が一方向のみに電流を伝える性質をもつことを発見(鉱石検波器の原理)、1887年にはル・シャトリエと独立に平衡移動の法則に到達した。その後、電磁気学的研究を進め、1897年には陰極線管をもとに各種の電磁現象を調べるブラウン管(オシロスコープ)を発明した。また送信距離に限界をもつヘルツ発振器(火花放電による)の問題点を指摘、変圧効果によりアンテナと発振器とが同調する無線システムをはじめ、傾斜ビームアンテナなどを開発した。1909年マルコーニとともに無線通信の研究によりノーベル物理学賞を受けた。なおラジオ放送に関する訴訟でアメリカに渡ったが、第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)のため帰国できず、客死した。
[兵藤友博]
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