日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブラウン(Thomas Brown、哲学者)
ぶらうん
Thomas Brown
(1778―1820)
イギリスの哲学者。エジンバラ大学教授を務めた。スコットランド常識学派に属するが、ヒューム、ミルらの伝統との中間的立場を代表する。彼は一方で、ヒュームより進んで因果関係を対象間の斉一的継起と断定するが、他方、外的存在の知識の場合と同様、因果的認識を直覚的、本能的な信念で基礎づける。また、筋肉と触覚の感覚を分け、心的能力の別を能力心理学的でなく、心的なできごとの類型の差とみたのも彼の特色である。著作には、ヒュームの因果論の検討(1805)や『人間精神哲学講』(1820)などがある。
[杖下隆英 2015年7月21日]
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