ブルジョア(英語表記)Bourgeois, Leon(-Victor-Auguste)

デジタル大辞泉 「ブルジョア」の意味・読み・例文・類語

ブルジョア(〈フランス〉bourgeois)

《「ブルジョワ」とも》
中世ヨーロッパで、上層の貴族・僧と下層の労働者・農民との中間に位置した商工業者。市民。町人。
近代資本主義社会で、資本家階級に属する人。⇔プロレタリア
金持ち。財産家。ブル。
[類語]ブルジョアジー有産階級

ブルジョア(Léon Victor Auguste Bourgeois)

[1851~1925]フランス政治家。文相・外相・首相などを歴任。社会連帯主義を提唱し、また、国際連盟の成立に尽力して1920年ノーベル平和賞受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ブルジョア」の意味・読み・例文・類語

ブルジョア

〘名〙 (bourgeois)
① 元来の意味は中世ヨーロッパの都市で主として商工業に従事した市民。その後貴族・僧侶に対する平民のうちの資産を有する階層をいうようになった。
② 近代資本主義社会で、資本家階級に属する人。また、生産手段を有する人。
※第四階級の文学(1922)〈平林初之輔〉二「ブルジョアとプロレタリヤの何れにも属しない中間的知識階級
③ 俗に、金持。
※桐の花(1913)〈北原白秋〉昼の思「私はただ馴れ過ぎた俗人(ブルジオア)の詠歎を忌む」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブルジョア」の意味・わかりやすい解説

ブルジョア
Bourgeois, Leon(-Victor-Auguste)

[生]1851.5.21. パリ
[没]1925.9.29. エペルネ近郊
フランスの政治家,国際連盟の熱心な提唱者。法曹界から 1876年に官界に転じ,87年パリ警視総監に昇進。 88年マルヌ県選出の代議士となる。いくつもの閣僚ポストを歴任後,95年 11月から翌年4月まで首相。その後も,急進党党首として上院議員に選出され,1920~23年上院議長をつとめたほか,政府要職を歴任。 1899年ハーグ平和会議にフランス代表として出席し,国家間の協調を支持した。 1903年ハーグの国際司法裁判所判事。モロッコ独立に関する 1906年合意の形成に向けて努力した。 19年国際連盟フランス代表。半契約的な社会の本質とそれに対する全人類の基本的な義務を強調する団結の社会理論を唱える先駆的な人物として知られた。 20年ノーベル平和賞を受賞。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ブルジョア」の意味・わかりやすい解説

ブルジョア

フランス出身,米国の画家彫刻家。パリ生れ。画家,版画家としてシュルレアリスムの影響下に活動を始めるが,1949年に彫刻へと転向を図る。最初は木で,後には石材ラテックスやブロンズなどを用い,有機的なフォルムとさまざまな情感とを結合させ,同時代の動向に与することなく独自の表現世界を追求した。1960年代以降は女性性をテーマとする作品も制作し始め,肉体の内部に潜む不安や恐怖,苦痛といった根源的感情に迫るインスタレーションを発表し続けている。1982年のニューヨーク近代美術館での回顧展を機に世界的に知られるようになり,1993年のベネチア・ビエンナーレでは優秀賞を受賞している。

ブルジョア

フランスの政治家。1888年急進社会党の国会議員となり,1892年以後ほとんどすべての閣僚職を歴任,首相(1895年―1896年)ともなった。熱心な平和主義者で国際連盟創設に尽力,設立時からフランス代表だった。1920年ノーベル平和賞。社会改良主義者としても著名で,フランスにおける社会連帯主義の先駆とされる。主著《連帯の哲学》。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のブルジョアの言及

【階級】より


[サン・シモンの階級論]
 階級論への着目は,西ヨーロッパ諸国における近代化革命,とりわけフランス革命をつうじて形成され,初めにサン・シモン,次いでマルクスとエンゲルスによって一つの理論へと定式化されるにいたった。 最初の定式化を示したサン・シモンは,その著《産業者教理問答Catéchisme politique des industriels》(1823‐24)の中で,フランス革命以前のアンシャン・レジームの下では,フランスは貴族・ブルジョア・産業者の3階級から成っていたとし,貴族を支配する階級,産業者を服従する階級,そしてブルジョアを中間階級とした。しかるに,サン・シモンのみるところでは,フランス革命は中間階級が産業者階級を味方に引き入れて貴族を追放し,みずからが支配階級にのしあがった革命であった。…

【市民】より

…ヨーロッパの中世においては,市民は城塞の中に住む人たちを意味した。市民がブルジョアbourgeoisとも呼ばれるのは,bourg(城)の中に住む人たちであるからにほかならない。農村が封建領主の支配下におかれていたのに対して,中世の諸都市は,領主,司教,国王などの対立関係を巧みに利用しながら,貨幣鋳造権,徴税権,裁判権などの自治権を獲得し,さらに独自の軍隊をもって外敵の侵入に備えた。…

【福祉国家】より

…市民や多くの利益集団が生存権に基づき政府による公共福祉の拡大を求めるときには,反面で義務を負っていることを自覚し積極的にその負担に応じていくことも必要である。国際連盟の提唱者でありノーベル平和賞を受賞したフランスのブルジョアLéon V.A.Bourgeois(1851‐1925)が《連帯の哲学論集》(1902)の中で〈人は生まれながらにして人間社会の債務者である〉と述べているが,現代福祉国家の市民はこの点に思いを致すべきである。社会福祉【地主 重美】。…

【ブール】より

…シテとブールの二元性は,地誌的・経済的・政治的対立が著しかった場合は別として,12世紀の中ごろには解消の方向にあり,都市の地誌的一元化が進む。それとともに,かつては〈ブールの住民〉を意味していたブルジョアも,〈都市の住民〉という意味に変化する。都市のコミューン運動がこれと連動し,ブルジョアは未解放の農村の住民と対比される〈都市の自由民〉ともみなされるようになった。…

【ブルジョアジー】より

…一般的には,富裕な商工業者や財産所有者で構成されている社会層をいい,有産者階級などと訳される。ブルジョアジーという語は,ブルジョアbourgeoisの集合名詞であり,ブルジョアというのは,もともと町の人(町人)とか市民とかいう意味であるから,ブルジョアジーは,町人身分とか市民階級とか訳される場合もある。そして,主としてマルクス主義の用語法においては,ブルジョアジーは,近代資本主義社会における資本の所有者という意味で用いられ,したがって資本家階級と訳され,労働者階級としてのプロレタリアートの反対語とされる。…

※「ブルジョア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android