ブレーメン(英語表記)Bremen

精選版 日本国語大辞典 「ブレーメン」の意味・読み・例文・類語

ブレーメン

  1. ( Bremen ) ドイツ北西部、ウェーザー川下流の大河港都市。八世紀に司教座が設置されたのに始まる。バルト海貿易基地として発展し、一一八六年に都市自治権を得た。一三五八年ハンザ同盟加盟、一六四六年自由ハンザ都市となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「ブレーメン」の意味・わかりやすい解説

ブレーメン
Bremen

ドイツ北西部の都市。約65km下流の外港ブレーマーハーフェンとともにブレーメン州をなす。人口66万3200(2004)。ウェーザー川に沿い,ハンブルクに次ぐ同国第2の港湾都市羊毛木綿タバコ穀物などが輸入され,市内外にはこれらの原料を加工する産業が栄え,またウェーザー川下流では造船業が盛ん。旧市街は,第2次世界大戦中に甚大な被害を受けたものの,復興によって旧時の姿を今日によく伝える。17世紀初期に完成した北方ルネサンス様式の市庁舎も復元され,その前にはブレーメンの象徴である石造のローラント像(1405ころ)が立ち,市庁舎のかたわらには名高い〈ブレーメンの音楽隊〉の彫刻が置かれている。大聖堂をはじめとして由緒ある建物も多い。同じ北ドイツのハンブルク,リューベックなどと同様,建造物は主として煉瓦造りで,北ドイツで最も景観の美しい都市の一つに数えられる。フランク王国時代の787年に司教座が置かれ,北方伝道の拠点となったことがブレーメンの起源であり,ハンブルクにすでに置かれていた大司教座もやがてブレーメンに移された。この間商業中心地としても栄え,10世紀にはドイツ皇帝から商業に対する保護特権が与えられた。それ以降は,宗教都市としてよりも貿易の基地,商業都市として成長し,12世紀末以後,商人団体の存在が確認される。こうした商人層の台頭とともに大司教支配は漸次後退し,しだいに商人層が独立的に政策を遂行するようになった。その頂点に立ったのは商人中とくに有力な少数門閥であり,商人貴族の勢力はハンブルクに比べて安定していた。ハンザ同盟加盟都市の中でもハンブルクをもしのぐ格式をもって遇された。しかしハンザに対する連帯意識はさほど強固ではなく,ハンザから分離する傾向を示した時期もあった。宗教改革時代に急速に新教化し,ハンザ全体が衰亡した三十年戦争中,リューベック,ハンブルクとともに三市同盟を結び安全保障を図った。この三市同盟は結局はハンザに代わるものとして近代まで存続し,他の2都市とともにブレーメンが今日もなお〈ハンザ自由都市〉という称号を有するのはこのためである。19世紀以降アメリカ大陸との貿易が盛行を見,ブレーメンはこの世界貿易によって港湾都市として著しく地位を高めた。ナポレオン時代フランス領に編入されて一時繁栄が足踏みをしたものの,解放後再び発展し,多くの有力な企業が設立されてドイツ経済の発達に貢献した。
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百科事典マイペディア 「ブレーメン」の意味・わかりやすい解説

ブレーメン

正式名は自由ハンザ都市ブレーメンFreie Hansestadt Bremen。ドイツ北部,ウェーザー川河口から約70kmにある河港都市。ブレーマーハーフェンとあわせてブレーメン州を構成。ハンブルクに次ぐ貿易港。機械,自動車,製油,化学,タバコ,食品加工などの工業が行われる。教育大学,商船学校がある。788年司教座がおかれ,中世にはハンザ同盟の有力都市の一つとして活躍。1646年帝国自由都市。第2次大戦中Uボートの基地となり,市街の60%が破壊された。54万6451人(2012)。
→関連項目自由都市ブレーメンのマルクト広場の市庁舎とローラント像

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ブレーメン」の解説

ブレーメン
Bremen

ドイツ西北部,ヴェーザー川下流の港湾,商業都市。外港ブレーマーハーフェンとともに一連邦州ブレーメンを構成。787年司教区ブレーメン設置。その後商業都市として発展,13世紀以後ハンザ同盟の有力メンバーであった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ブレーメン」の解説

ブレーメン
Bremen

ドイツ北部,ヴェーザー川の下流域にある港湾都市
8世紀に司教座が置かれ,しだいにバルト海貿易の基地として発展した。1186年皇帝特許状を得,13世紀にはハンザ同盟の有力な都市として栄えた。第二次世界大戦中,潜水艦基地であったため,市街の約6割が破壊された。現在,造船・自動車工業などが盛ん。

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世界大百科事典(旧版)内のブレーメンの言及

【ウェーザー[川]】より

…上流部フルダ川に注ぐエダー川には高さ45mのエダー・ダムがあり,長さ27kmに及ぶ貯水池は早春の高水時に水を集めヘッセン州に電力を供給するほか,水量の少ない夏にもウェーザー川の航行をカッセルまで可能にした。また,ブレーメンより下流部では水深が大で,大洋航行船舶が往来し,水上交通路として重要である。支流のフンテ川,アラー川なども舟運に利用される。…

【ブレーマーハーフェン】より

…ドイツ北西部,ブレーメン州の海港都市。ウェーザー川の河口右岸に位置。…

※「ブレーメン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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