ブローカ(その他表記)Pierre Paul Broca

改訂新版 世界大百科事典 「ブローカ」の意味・わかりやすい解説

ブローカ
Pierre Paul Broca
生没年:1824-80

フランス医学者,人類学者。ボルドーに近いサン・フォラグランドで生まれ,1849年パリ大学で医学の学位を得た。病理学解剖学,外科を専攻し53年パリ大学医学部助教授になりネケル病院外科で診療に従事,68年同臨床外科学教授に就任した。脳外科に優れ,脳腫瘍を処理するため頭骨に穴をあける開頭手術を行った。大脳の左前頭葉下部に障害を受けると言語機能が損なわれることに気づいて〈ブローカの言語中枢〉を発見大脳皮質における機能局在を立証した。また人類学に興味を注ぎ,59年パリ人類学会を組織し,72年《人類学雑誌》を創刊,76年人類学学校を設立した。頭骨計測法を精密にするため27種の頭骨計測装置を考案した。
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百科事典マイペディア 「ブローカ」の意味・わかりやすい解説

ブローカ

フランスの外科医,人類学者。1861年大脳の運動性言語野(ブローカ中枢)を発見し,大脳の機能局在を初めて証明した。また人類学の分野でも頭蓋計測法などを考案,1859年パリ人類学協会を設立するなど,フランス自然人類学基礎をつくった。
→関連項目骨相学

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブローカ」の意味・わかりやすい解説

ブローカ
Broca, Paul

[生]1824.6.28. サントフォアラグランド
[没]1880.7.9. パリ
フランスの外科医,自然人類学者。 1859年にパリ人類学会を創設,66年パリ医学アカデミー会員。 76年に Ecole d'Anthropologie (人類学学院) を創立し,その校長となった。人体および人骨用の計測器具を考案し,計測方法の標準化をはかったほか,61年には言語を支配する中枢が左前頭部にあることを発見。比較解剖学,脳の形態学の研究でも知られた。

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世界大百科事典(旧版)内のブローカの言及

【機能局在】より

…ヒトの大脳皮質は不規則なしわに覆われて,肉眼的には一様の構造のように見える。しかしブローカP.Brocaによる運動性言語野の発見(1861)以来,場所による機能の違いが明らかになった。これを脳の機能局在という。…

【機能局在】より

…ヒトの大脳皮質は不規則なしわに覆われて,肉眼的には一様の構造のように見える。しかしブローカP.Brocaによる運動性言語野の発見(1861)以来,場所による機能の違いが明らかになった。これを脳の機能局在という。…

【左右優位】より


[左脳と言語]
 人間の大脳は左右二つの大脳半球,俗にいう左脳と右脳から成り立っている。19世紀の中ごろ,ダックスM.DaxやP.ブローカによって,失語症が左脳の損傷で起こり,右脳損傷では起こらないことが明らかにされた。このことから,左脳は優れた言語機能をもっているが,右脳の言語機能は劣ったものがあることが推定された。…

【大脳辺縁系】より

…本来,嗅覚(きゆうかく)との関連において発達をとげた脳の系統発生的に古い皮質部分で,おおよそ広義の嗅脳に相当する。辺縁系という用語は主として比較解剖学的研究を基にして名づけられた辺縁葉limbic lobeに由来するが,この辺縁葉という言葉は,1878年P.ブローカが,室間孔の周囲を環状にとりまいている脳の中心部分に対してle grand lobe limbiqueという名称を与えたのに始まるとされている。現在,辺縁葉についてだれをも納得させうる定義づけができているわけではないので,辺縁葉と嗅脳との区別も明らかではない。…

※「ブローカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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