改訂新版 世界大百科事典 「ブーダン」の意味・わかりやすい解説
ブーダン
Eugène Boudin
生没年:1824-98
フランスの風景画家。ノルマンディー地方の海辺の町オンフルールHonfleurに船乗りの息子として生まれる。水夫や出版社の事務員として働いたあと,友人と画材店を開き,この地方を訪れる画家たち(トロアイヨンConstan Troyon,イザベーEugène Isabey,クチュールThomas Coutureなど)の作品を飾った。1850年にル・アーブルの芸術家協会の奨学金を得て3年間パリで学ぶが,ほとんど独学であった。彼の好んだのはフランドルやオランダの画家だったが,何よりも自然の風景,とりわけ海と空から直接に多くを学ぶ。58年ル・アーブルでカリカチュアを展示していたモネの才能を発見し,この若者に油彩と戸外制作を教えたことが,後の印象派の形成に決定的な役割を果たすことになる。彼自身も,それまでにフランスにわずかしか存在しなかった〈海景画〉という分野を確立し,海と空の移ろいやすい光の状態を描いた。
執筆者:馬渕 明子
ブーダン
boudin
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報