プレシジョニズム(読み)ぷれしじょにずむ(英語表記)precisionism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレシジョニズム」の意味・わかりやすい解説

プレシジョニズム
ぷれしじょにずむ
precisionism

精密主義。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間にアメリカでみられた絵画様式。キュビスト・リアリズムともよばれるが、特定の主張をもった美術運動ではない。中心的な画家チャールズ・シーラー(1883―1965)の様式から発生した呼称とみられ、シーラーのほかデミュス、オキーフディキンソンスペンサーなどがいる。別名イマキュリスト(純潔派)ともよばれるように、彼らの様式の特徴は、都市の建築や工場などのキュビックな形態を直線と面に単純化してとらえる傾向があり、当時の写実系絵画にみられた物語性、寓意(ぐうい)性などをいっさい排除している。対象の形を面でとらえる方法には分析的キュビスム名残(なごり)が認められ、面と面の境界としてのエッジを鋭く明確に描き起こす特色をもっている。クェーカー教徒の家具がもつ簡素で平明な形を連想させるが、都市や農林風景を扱ったという意味ではアメリカン・シーン絵画の一種でもあった。

桑原住雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android