日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘパトーマ」の意味・わかりやすい解説
ヘパトーマ
へぱとーま
Hepatom ドイツ語
hepatoma 英語
原発性肝癌(がん)のうち、肝細胞に由来する癌のことで、1911年(明治44)山極(やまぎわ)勝三郎により、胆管上皮由来の癌であるコランジオーマcholangiomaとともに命名され、一般化した。肝細胞に似た細胞からなる上皮性悪性腫瘍(しゅよう)で、肝硬変が併存することが多い。進行すると肝内に種々の大きさの腫瘤(しゅりゅう)を形成し、出血、変性、壊死(えし)をきたす傾向が強い。肉眼的外観は結節型、塊状型、びまん型に分類され、割面の色調は白色、黄色、暗赤色、緑色など多彩である。組織学的には索状型、偽腺管(ぎせんかん)型、充実型、硬化型に分類され、肉眼的に単一な腫瘍でも、組織像は多彩であることが多い。
[菅原克彦]