酸素分子の運搬能を有する銅タンパク質.軟体動物,節足動物の血リンパ(hemolymph)に溶解して存在する.存在量は血リンパの数%~10%,また血リンパタンパク質の90~95% を占める.ヘモシアニン1分子当たりの銅イオン数は種によって異なるが,銅含量は節足動物で約0.18%,軟体動物で約0.25% でほぼ一定している.分子量はカタツムリHelix pomatiaのヘモシアニンで8.91×106,カニCancer magistevで9.5×105,種によって差があるがいずれも巨大分子である.2個の銅原子に対して1分子の酸素を結合する.銅イオンはヘモシアニンをシアン化カリウム水溶液に対して透析すると離脱し,酸素結合能が失われるが,これに Cu+ を添加すれば活性は復元する.[別用語参照]ヘモグロビン
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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呼吸色素タンパク質の一種で、イカ、タコ、エビ、ザリガニなどの軟体動物や節足動物の血漿(けっしょう)中に存在し、酸素運搬機能をもつ。血青素(けっせいそ)ともいう。高等動物のヘモグロビンに相当するが、ポルフィリン環をもっていない。無色であるが、酸素と結合すると青色に変わる。銅二原子に酸素1分子を可逆的に結合するが、酸素との結合はヘモグロビンより弱い。また、ヘモシアニンは一酸化炭素とは結合しない。分子量や銅の含量などは動物の種類によって異なり、銅の含量は節足動物甲殻類の約0.17%から軟体動物の約0.26%にわたり、分子量も同じく約40万から約900万にも及ぶ。
[若木高善]
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…この現象は,鮮度低下したカニや老大ガニに出やすく,また貯蔵加工中の温度変化が大きいと出やすい。煮熟前に十分脱血したカニはブルーミートになりにくいことから,銅を含んだ呼吸色素ヘモシアニンが原因物質とされている。缶詰製造では,変色防止のため分別凝固法(低温煮熟法とも呼ぶ)が広く用いられている。…
…ヘモグロビンはほとんどすべての脊椎動物と一部の無脊椎動物に,クロロクルオリンはケヤリなどに,ヘムエリトリンはホシムシやシャミセンガイにみられ,いずれも鉄を含んでいる。銅を含むヘモシアニンは甲殻類や頭足類にみられる。これらの色素は酸素結合能力がきわめて大きく,たとえばヒトの場合,血漿(けつしよう)にとける酸素は0.3%(容量)にすぎないのに実際に動脈血に含まれる酸素は19%に達する。…
…酵素や呼吸色素タンパク質などに,銅タンパク質として存在する。甲殻類や軟体動物中のヘモシアニンが呼吸色素の代表例で,脊椎動物におけるヘモグロビンと同じく酸素の運搬をつかさどる。ヘモシアニンは酸素を離すと無色であり,結合すると青色となる。…
※「ヘモシアニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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