日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベックマン(Max Beckmann)
べっくまん
Max Beckmann
(1884―1950)
ドイツの画家、版画家。ライプツィヒに生まれ、ワイマール、パリ、フィレンツェおよびベルリンで絵画を修業する。ベルリン分離派に加わり、初期には印象派風に描く。第一次世界大戦に従軍し、この戦争体験を転機として表現主義的な画風を開拓する。彼は人間存在を脅かす恐怖や不安や孤独を見つめ、また文明の破局を予見してこれらを象徴的なコンポジションによって描き出した。ナチスによって1925年以来教職にあったフランクフルト美術学校を追われ、37年アムステルダムへ脱出。第二次大戦後アメリカへ渡ってニューヨークで没した。『出発』(1932~33・ニューヨーク近代美術館)、『アルゴナウタイ』(1949・ニューヨーク、M・ベックマン・コレクション)など晩年の三幅対形式の大作9点は名高い。
[野村太郎]