日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベッリ(Giuseppe Gioachino Belli)
べっり
Giuseppe Gioachino Belli
(1791―1863)
イタリアの詩人。貧しい生活を支えるために、さまざまな職業につくが、裕福な貴族の未亡人と結婚して、ようやく生活の安定を得ると、教皇庁に勤めるかたわら、優に2200編を超えるソネットをローマ方言で綴(つづ)った。その詩は、単にローマの民衆のことばで書かれているばかりでなく、自らも民衆と同じ平面にたった低い視点から、グレゴリウス16世治下のローマの高位聖職者や貴族の腐敗、民衆の悲惨な暮らしぶりなどを、ときに喜劇的に、また、ときに悲劇的に描き出している。その作品『ローマ方言によるソネット集』は1830~47年に書かれたが、生前は刊行されなかった。
[川名公平]