日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベリー(フランス)」の意味・わかりやすい解説
ベリー(フランス)
べりー
Berry
フランス中部にある歴史的地域で、旧州名。パリ盆地の南、マッシフ・サントラル(中央群山)の北麓(ほくろく)、ロアール川とクルーズ川の間を占め、アンドル県とシェル県にまたがる。中心都市はブールジュ。中心部はベリーのシャンパーニュとよばれる石灰質の平坦(へいたん)地で、樹木が少ない。北東部はサンセロア地方の白亜質の丘陵。南東部はボカージュ(林地)である。ヒツジの牧畜は後退し、小麦栽培が卓越する。ほかに大麦、トウモロコシ、菜種、ヒマワリが栽培される。農村部は人口希薄で、伝統的な精錬業をはじめとする工業就業者は、アンドル川やシェル川およびその支流のテオルス川、イエーブル川の谷に集中している。古代にはガリアの一部族ビチュリゲス・キュビの居住地で、カロリング朝時代は伯爵領、14世紀中ごろ公爵領となり、1601年フランス王領となった。
[大嶽幸彦]