ベンゾ[a]ピレン(読み)ベンゾピレン

化学辞典 第2版 「ベンゾ[a]ピレン」の解説

ベンゾ[a]ピレン
ベンゾピレン
benzo[a]pyrene

3,4-benzopyrene.C20H12(252.32).発がん性物質.石炭タール中に約1.5% 存在するほか,自動車の排気ガス,タバコの煙,くん製食品などにもごく微量に含まれる.ピレンに無水コハク酸をフリーデル-クラフツ閉環させて合成される.黄色の結晶.融点179.9~180.3 ℃,沸点310~312 ℃(1.33 kPa).水に不溶,ベンゼン,トルエン,キシレンに可溶,エタノールに微溶,水に不溶.がんの研究に広く使われており,その分析には,エアサンプラーや,そのほかのばいじん捕集器で集められたばいじんをベンゼンで抽出し,抽出液を減圧濃縮したうえ,クロマトグラフィーで単離し,365~403 nm の光吸収,または蛍光を測定して定量する.それ自体には反応性はないが,酵素反応によって生成する7,8-ジオールや9,10-エポキシドがDNA中のグアニン塩基と付加体を形成することが確かめられている.[CAS 50-32-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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