ベーア(Johann Beer)(読み)べーあ(英語表記)Johann Beer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベーア(Johann Beer)
べーあ
Johann Beer
(1655―1700)

オーストリアの音楽家、作家。ザルツブルク東部郊外の旅館の息子として生まれる。北ドイツのザクセン選帝侯の分家、ワイセンフェルス家に楽長として仕えた。作家としては多くの筆名を用いた。短編『風癲(ふうてん)病院訪問記』(1681)はものぐさな小貴族が主人公の風刺ピカレスク(悪漢)小説、二大長編『冬夜清話』(1682)、『夏日快譚(かいたん)』(1683)は若い宮廷人たちのたどる壮大なアバンチュールの世界を描き、作者語り口に、もはやピカレスク小説の先人グリンメルスハウゼンの苦みはみられない。

[村田宇兵衛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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