ベーサカ祭(読み)ベーサカさい

改訂新版 世界大百科事典 「ベーサカ祭」の意味・わかりやすい解説

ベーサカ祭 (ベーサカさい)

南方仏教で,釈迦の誕生,成道(じようどう),入滅を祝って行われる祭り。中国や朝鮮,日本などの北伝(大乗仏教では,釈迦の誕生,成道,入滅はそれぞれ別の日のこととされ,それらの日ごとに祝われる(たとえば,4月8日の降誕会(ごうたんえ)または灌仏会(かんぶつえ),12月8日の成道会(じようどうえ),2月15日の涅槃会(ねはんえ)など)。一方,スリランカやミャンマー,タイなど南方仏教の諸国では,これらはいずれもインド暦で第2月とされるバイシャーカvaiśākha月の満月の日のこととされ,毎年,この日にあたる5月末から6月初めの満月の日を中心に,盛大な祭りが行われる。この祭りを,月の名にちなんで〈ベーサカ祭〉という(ベーサカVesakhaは,サンスクリットのバイシャーカがなまったもの)。この祭りは前1世紀,スリランカのドゥッタ・ガーマニー王の時代に始まったとされる伝統ある祭りであり,南方仏教徒にとっては最も重要な,また最も大きな祭りである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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