化学辞典 第2版 「ホスファチジン酸」の解説
ホスファチジン酸
ホスファチジンサン
phosphatidic acid
1,2-diacyl-L-glycerol 3-phosphate.ほとんどすべてのグリセロリン脂質の生合成における前駆物質であるが,天然にはごく少量しか発見されていない.キャベツの葉では,遊離のものが見いだされているが,グリセロリン脂質がホスホリパーゼ Dにより加水分解を受け,遊離したものである.ジグリセリドをリン酸化して合成されているが,ホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンなどを,ホスホリパーゼDで加水分解すると得られる.この原子団をホスファチジル基とよぶ.一般に,薄茶色の油状の液体.室温でも割合安定であるが,空気中では徐々に茶色の固形物にかわる.石油エーテル,エーテル,アセトン,メタノール,エタノール,クロロホルム,水に可溶.生体内ではα-グリセロリン酸のアシル化により生合成される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報