ボランタリー・グループ(英語表記)voluntary group

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボランタリー・グループ」の意味・わかりやすい解説

ボランタリー・グループ
voluntary group

自発的結社,自主的集団ともいう。特定利害関心欲求充足を可能にするため,自発的に形成された集団。政党労働組合職業集団,文化集団などがある。ひとたび形成されれば集団目標の維持,達成のため持続的な忠誠を要求するが,本来,集団への参加,脱退は任意に基づくものであるから自発的に脱退できるのがたてまえである。こうした集団が発生した背景には,近代市民社会に入って,人々が身分や共同体の拘束から解放されたという歴史的事実,さらに第1次集団の機能分化などがあげられる。今日,ボランタリー・グループは巨大化,官僚制化,指導者の寡頭制化が進行して,集団を結成した初期の意図や目的が形骸化する傾向にある。特に巨大化した労働組合や政党などにそれがみられる。オルソンによれば,大きな集団では個人の貢献が集団の獲得する集合財の量に対しわずかな差異しかもたない。そこで利己的で合理的な個人であれば集団に対して真に自発的な貢献をすることはなく,フリーライダーが発生するということである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android