最新 地学事典 「ポリタイプ」の解説
ポリタイプ
polytype ,polytypism
炭化珪素,CdI2, PbI2, グラファイト,輝水鉛鉱,閃亜鉛鉱,雲母などの層状構造をもつ結晶では,単位層の構造は同じでも,その積層方法によって積層方向の周期の異なった多種類の構造型が可能である。この現象は最初炭化珪素で発見され,同種条件下で成長した結晶中に多種類の構造型が存在する点,積層方向の周期のみが異なる点で,一般の多形と区別し,ポリタイプと呼ばれるようになった(Baumhauer, 1911)。ポリタイプの記号法には,Nabarro-Frank記号法,Zhdanov記号法,Ramsdell記号法など各種あるが,Ramsdell記号法が従来広く使われていた。これは,1周期をつくる単位層の数と,その結晶系とで表現する方法で,例えば6層からなる六方晶系の炭化珪素は6H型と呼ばれる。雲母は1M, 2M1, 2M2, 2O, 3T, 6H, 24Trなど。ここでM:単斜,O:直方, T:三方,Tr:三斜。しかし三方のT, 三斜のTr, 正方(Tetra-gonal)等がまぎらわしく,IMAの新鉱物鉱物名委員会(CNMMN)は以下の用法を推奨している。立方:C, 六方:H, 菱面体:R, 三方:T, 正方:Q(quadratic),直方:O, 単斜:M, 三斜:A(anorthic)。(E.H.Nickel, 1993,「Am.Min.Vol.78」)。ポリタイプの形成機構については,長い間不純物や生成条件などとの関連づけの研究が行われたが結論が出なかった。しかしA.R.Vermaの行った炭化珪素上の渦巻成長丘のあやおり模様interlacing patternの観察結果をもとに,F.C.Frankが基本型のCoの非整数倍の大きさのBurgers’ベクトルをもつらせん転位を媒介とした渦巻成長によって,異なったポリタイプが形成されるという理論を出した。現在ではこの考えが最も広く信じられている。スタッキングポリモーフ(stacking polyrnorph)とも。
執筆者:砂川 一郎・赤井 純治
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

