マイクロ・セル・リアクター(読み)マイクロセルリアクター

百科事典マイペディア の解説

マイクロ・セル・リアクター

細胞の仕組みを工業的に応用した,人工細胞式の工場。酵素合成樹脂などで膜状に固定化し,原料を通過させ,その生物反応でエタノールなどを製造するバイオリアクターはすでに実用化されているが,その人工版,小型版ということができる。脂質などで造られた人工細胞膜の中に,各種のタンパク質からなる機能性タンパク質集合体を詰め,物質の分解合成などを行わせる。日本では1989年,通産省の〈機能性タンパク質集合体プロジェクト〉がスタートし,工業技術院と民間7社で共同研究が行われてきた。10年計画のこのプロジェクトは,すでに光合成エネルギーを生み出す仕組み,原料をリアクター内に運搬する仕組み,神経情報伝達で反応を制御する仕組みなどの要素技術が確立。1996年度から,光制御反応などのモデルシステムの研究開発という最終段階に入った。→バイオテクノロジー

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