マイルドヤンキー(読み)まいるどやんきー

知恵蔵 「マイルドヤンキー」の解説

マイルドヤンキー

地元に根ざし、同年代の友人や家族との仲間意識を基盤とした生活をベースとする若者。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーでマーケティングアナリストの原田曜平が提唱している。現代の一般的な若者の志向とされる都市部集中、車離れ、晩婚化、少子化とは異なる経済活動や行動様式を持つと定義され、仲間と同乗して車を使い、地元企業に勤めて週末は幼なじみとショッピングモールに出かけるなど、行動エリアが半径5キロメートル以内で完結するという。
原田は著書ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)でマイルドヤンキーを、「消費の主役になりつつある新保守層」としている。傾向としては、地元志向が強く、郊外や地方都市に住み、低収入で、ITへの関心やスキルが低い、小・中学校時代からの友人関係を続ける、「できちゃった結婚」の割合が高い、子どもにキラキラネームをつける、喫煙率や飲酒率が高いなどを挙げている。
その志向から導かれる人生観については、女性は「都会に住んで貧乏になるより低賃金でも地方で務め、早く結婚して子どもを産み親や地域の絆に支えられて子育てする」というものであり、男性は「安定した雇用が期待できないのなら、非正規の仕事を掛け持ちしながら親元に住み、将来的には親の面倒も見る」などというものである。男女とも経済的なリスクを回避し、地域社会の中で子育てや介護ができる環境を求めていると分析する。
一般的に低収入とされるが、結婚して子どもを産み育てるなど、次世代をスムーズに生み出すことができる層なので子どもの成長に伴う消費が期待できる。また、親との同居や地方で住むことにより住居費の負担が小さいために車を購入するなど、ニート層などに比べて消費意欲が高いため、企業はその消費傾向に注目している。
原田はマイルドヤンキーが大きな消費層になる可能性を秘めており、日本経済を牽引していく存在になりつつあると指摘している。また、「彼らが存続するかどうかは、生活圏内にある程度の雇用が確保できるかどうかにかかっている」とし、地域再生に欠かせない存在として企業や自治体が雇用の確保など、何らかの支援をすることを求めている。

(若林朋子  ライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「マイルドヤンキー」の解説

マイルドヤンキー

現代日本の若者の一類型を表す言葉。2014年1月、博報堂ブランドデザイン若者研究所のリーダー・原田曜平が著書『ヤンキー経済 消費社会の主役・新保守層の正体』(幻冬舎)で提唱した。かつてのヤンキーから攻撃性といった激しさを除いたような性向を持つため、マイルドヤンキーと名づけられた。その一番の特徴とされるのは、上京志向がなく地元で強い人間関係と生活基盤を作り上げ、家族生活を楽しもうとすること。総じて学歴・年収が低めであり、身近な世界以外に関心が低く、出世などの野心が乏しい。家賃を始めとした物価の安さや強固な地縁関係の影響などにより、消費活動はそれなりに活発。新保守層と位置づけることができ、経済のみならず政治・社会構造などの側面でも、日本の趨勢に大きな影響を与えるものとして関心が寄せられている。

(2014-3-11)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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