ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリキ」の意味・わかりやすい解説
マリキ
Mālikī, Nūrī al-
イラクの政治家。首相(在任 2006~14)。フルネーム Nūrī Kāmil al-Mālikī。祖父は高名な詩人で,1926年にごく短期間,閣僚を務めた。1973年ウスル・アル・ディン大学でイスラム学の学士号を,1992年サラー・アル・ディン大学でアラビア文学の修士号を取得。1963年にシーア派の地下組織ダアワ党に加わる。党の分裂後も,当初所属していた派閥にとどまった。1979年,サダム・フセイン政権の弾圧を受け,ヨルダンに亡命。次いでシリア,その後 1982年にイランに移った。1980年には欠席裁判によりイラク政府から死刑宣告を受けた。2003年4月,イラク戦争でフセインのバース党政権が転覆するとイラクに帰国。元バース党員を公職から追放する委員会の副委員長となり,2005年には暫定国民議会議員に選出された。イラクの憲法草案策定委員会にシーア派上級委員として参加。2005年12月の連邦議会選挙で,シーア派統一会派のイラク統一同盟 UIAから立候補して再選された。UIAは第一党となり,ダアワ党のもう一人の指導者であるシーア派のイブラヒム・アル・ジャファリを,イラク正式政府の首相に推した。だが,ジャファリを分裂主義者とみなすスンニー派とクルド人政党がこれに反対し,4ヵ月に及んだ政治的空白を経て,2006年4月マリキが首相に指名された。マリキは挙国一致内閣を組織し,UIA指導者だけでなくスンニー派やクルド人,さらに世俗派も閣僚に登用した。亡命中は一貫してジャワドと名のっていたが,首相就任に際して出生時の名前であるヌーリに戻した。
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