マルチフェロイック物質(読み)マルチフェロイックブッシツ(英語表記)multiferroics

デジタル大辞泉 「マルチフェロイック物質」の意味・読み・例文・類語

マルチフェロイック‐ぶっしつ【マルチフェロイック物質】

multiferroic materials電気磁気効果のように、電場磁場のように異なる場に対して、相互応答するマルチフェロイクスという性質をもつ物質

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「マルチフェロイック物質」の解説

マルチフェロイック物質

強磁性、強誘電性、強弾性などの性質を複数有する物質系。物質は外場に対して何らかの応答を示す。例えば、磁場に対して磁化、電場に対して電気分極、応力に対してひずみが発現するが、それらは長距離的秩序によってもたらされると理解されている。外場のない場合でも、自発的に秩序を示す物質があり、それぞれ、強磁性(ferromagmetic)、強誘電性(ferroelectric)、強弾性(ferroelastic)を示す。フェロイック(ferroic)はこれらの共通の性質を包括的に形容する概念である。マルチフェロイックは、多重(マルチ)とフェロイックの合成語で、多重強的秩序系と訳される。マルチフェロイック物質は、異なる秩序状態の相互作用により新奇な応答現象が期待される。例えば、磁場による電気分極の応答や電場による磁化の応答などである。強磁性と強誘電性が共存する物質としてTbMnO(3)、BiMnO(3)などがある。新たな物質開拓や新たなセンサーデバイスへの応用など今後の展開が期待される。

(岡田益男 東北大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android