マンガベイ(その他表記)mangabey

改訂新版 世界大百科事典 「マンガベイ」の意味・わかりやすい解説

マンガベイ
mangabey

霊長目オナガザル科マンガベイ属Cercocebusに属する旧世界ザル。頭胴長45~60cm,尾長60~90cmで,ほっそりとした体型をしており,尾を巧みに動かす。まぶたが白いのが特徴である。マンガベイというのはマダガスカルの一地方名で,ビュフォンがこのサルをそこからきたものと誤ってつけた名である。スーティマンガベイC.atysアギルマンガベイC.galeritusシロエリマンガベイC.torquatus,ホオジロマンガベイC.albigena,トンガリマンガベイC.aterrimusなどが区別されるが,その分類はまだ流動的である。西アフリカから中央アフリカ,一部は東アフリカに分布する。常緑森林の低層に生息するが,アギルマンガベイやシロエリマンガベイは地上生の傾向が強く,とくに後者は河辺林や沼地林にすみ,ときには耕作地にも侵入するという。果実種子などのほか,小動物も食べる。複数のおとなの雄,雌,子どもからなる10~20頭ほどの集団で生活する。またオナガザル属のサルとしばしば混群をつくる。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンガベイ」の意味・わかりやすい解説

マンガベイ
まんがべい
mangabey

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科マンガベイ属に含まれる動物の総称。この属Cercocebusのサルは、ギニアからケニアにかけての森林地帯に分布し、5種に分類される。分布型はオナガザル属Cercopithecusに似ているが、系統的にはマカック属MacacaヒヒPapioに近い。5種を通じて体長50~60センチメートル、尾長70~80センチメートルで、ほっそりとした体格をもち、性差は小さい。体色は種ごとに違うが、すべて上瞼(うわまぶた)が白い。雌が発情すると、ヒヒと同様に、性皮が腫脹(しゅちょう)する。コンゴ民主共和国(旧、ザイール)にすむグレイチークトマンガベイC. albigenaとブラックマンガベイC. aterrimusは頭にも毛房をもち樹上生活者、西アフリカのスーティーマンガベイC. atysとシロエリマンガベイC. torquatus、コンゴ民主共和国からケニアにすむアジルマンガベイC. galeritusは毛房をもたず地上にも降りる。アジルマンガベイは、果実や木の芽を中心に、堅果や昆虫の幼虫を食べ、20~30頭の複雄群をつくって生活している。

[川中健二]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android