ミッチェナー(読み)みっちぇなー(英語表記)James Albert Michener

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミッチェナー」の意味・わかりやすい解説

ミッチェナー
みっちぇなー
James Albert Michener
(1907―1997)

アメリカ小説家、教育学者。ニューヨーク市に生まれる。親を知らない拾い子としてミッチェナー家で育てられ、極貧の少年時代を送った。スウォースモア大学を卒業、コロラド州立教育大学で修士号を取得、同大学の教育学準教授となった後、出版社に勤務。アメリカ海軍に入隊し、従軍体験によった小説『南太平洋物語』(1947)でピュリッツァー賞受賞。これは『南太平洋』としてミュージカル、映画になり、大成功を収めた。ほかに『トコリの橋』(1953)、『サヨナラ』(1954)、『ハワイ』(1959)、イスラエルの考古学的歴史小説『水源地』(1965)、『放浪者たち』(1971)、『センテニアル』(1974)、『スペース』(1982)、『チェサピーク物語』(1978)、『ポーランド』(1983)などがあり、その多くはベストセラーになった。日本の浮世絵に詳しく『日本の版画』(1959)などの著書もある。晩年に腎臓病を患い人工透析治療を受けていたが、最期尊厳死を選んだ。

[武藤脩二 2019年2月18日]

『清水俊二訳『南太平洋物語』(1952・六興出版社)』『常盤新平監訳『センテニアル』全3巻(1982・河出書房新社)』『水上峰雄訳『スペース』上下(1983・集英社)』『工藤幸雄訳『ポーランド』上下(1989・文芸春秋)』『成沢紀夫訳『ハワイ』上下(1997・日本図書刊行会)』『渋谷比佐子訳『チェサピーク物語』全4巻(1996~1998・至誠堂)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ミッチェナー」の意味・わかりやすい解説

ミッチェナー
James Albert Michener
生没年:1907-97

アメリカの小説家,評論家。ニューヨーク市に生まれる。スワスモア大学を優等で卒業,コロラド大学に学び,教員,編集者として勤めた後,第2次大戦に従軍,南太平洋戦線での体験を素材にした物語集《南太平洋物語》(1947)によってピュリッツァー賞を受け,ロジャーズとハマースタインによるミュージカル《南太平洋》としても有名になった。穏健な人道主義的立場から《トコリの橋》(1953),《サヨナラ》(1954)などアジアを舞台にした国際色豊かな作品を発表,《ハワイ》(1959),《隊商》(1963),《人間の歴史》(1965),《センテニアル》(1976),《チェサピーク》(1978),《コベナント》(1981)などの歴史小説でベストセラー作家として活躍した。知日家としても知られ,《日本の版画》(1959)などの評論がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミッチェナー」の意味・わかりやすい解説

ミッチェナー
Michener, James Albert

[生]1907.2.3. ニューヨーク,ニューヨーク
[没]1997.10.16. テキサス,オースティン
アメリカの小説家。第2次世界大戦中軍属として太平洋の島々の調査を命じられる。その体験に基づく『南太平洋物語』 Tales of the South Pacific (1947) が,ピュリッツァー賞を受賞,また R.ロジャーズ,O.ハマースタインによりミュージカル化され好評を博した。以後も現地調査に基づく創作を続け,日本を舞台に『サヨナラ』 Sayonara (54) ,西部開拓史を扱った『センテニアル』 Centennial (74) ,メリーランド州の歴史に取材した『チェサピーク』 Chesapeake (78) ,『遺産』 Legacy (87) など長編のベストセラーを数多く発表している。日本の浮世絵に関心をもち"The Floating World" (54) などの著作や,ほかに多くのルポルタージュ,評論がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ミッチェナー」の解説

ミッチェナー Michener, James Albert

1907-1997 アメリカの小説家。
第二次大戦の従軍体験をもとにした「南太平洋物語」でピュリッツァー賞を受賞。これはミュージカル「南太平洋」の原作となった。作品はほかに「サヨナラ」「センテニアル」など。たびたび来日して日本の版画を収集し,浮世絵研究でも著名。1997年10月16日死去。90歳。ニューヨーク州出身。スワースモア大卒。

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百科事典マイペディア 「ミッチェナー」の意味・わかりやすい解説

ミッチェナー

米国の作家。第2次大戦中の体験に基づく《南太平洋物語》(1947年),朝鮮戦争を背景とする《トコリの橋》(1953年),《サヨナラ》(1954年)で大衆的人気がある。ほかに叙事詩的長編《ハワイ》(1959年)や浮世絵の研究書など。

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