ミュジック・セリエル(読み)ミュジックセリエル

百科事典マイペディア 「ミュジック・セリエル」の意味・わかりやすい解説

ミュジック・セリエル

1950年代に前衛音楽の主流をなした作曲技法シェーンベルクが音高(音の高さ)について確立した十二音音楽体系を,音価(音の長さ),音色,強度(音の強さ)にも拡大したもので,4要素を音楽の構成単位として〈音列(セリー)〉化し,順列的に操作して作曲する。その萌芽ウェーベルンの後期作品などに見られ,メシアンがピアノ曲《音価と強度のモード》(1949年。《リズムのための4つのエチュード》の1曲)で試みた4要素の組織化を経て,ブーレーズらにより技法上の完成をみた。この方法が全曲にわたる構成原理として用いられる場合を〈全面的セリー音楽セリー・アンテグラル)〉と呼び,その代表作としてブーレーズの《ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌(つち))》(1954年),ノーノの《中断された歌(イル・カント・ソスペーソ)》(1956年)の2傑作が知られる。その後,ケージらの〈偶然性(不確定性)〉の手法がヨーロッパ作曲界に波紋を広げるなか,厳格にすぎるこの技法は表現上の足枷(あしかせ)ともなり,〈全面的セリー音楽〉は次第に姿を消した。現在では,より自由なスタイルの中で音楽の構成要素の一つとして用いられることが多い。→偶然性の音楽
→関連項目クルシェネククルターググレツキ柴田南雄シュトックハウゼンフーバーミニマル・ミュージック

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