デジタル大辞泉
「ムーミン」の意味・読み・例文・類語
ムーミン(Moomin/〈スウェーデン〉Mumin/〈フィンランド〉Muumi)
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知恵蔵
「ムーミン」の解説
ムーミン
トーベ・ヤンソンによる新聞連載マンガ及び童話の主人公。正式にはムーミントロール。
1914年8月9日、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれたトーベは、グラフィックアーティストの母と彫刻家の父を持ち、芸術一家の中で育った。両親の姿は、童話の中のムーミンママとムーミンパパに重なり、一家が夏を過ごした島のサマーハウスでの記憶が、童話に反映されているとされる。
トーベは、商業デザインや美術、フレスコ画を始めとする伝統画法などを学び、画家、イラストレーター、商業デザイナー、風刺画家、児童文学作家、絵本作家、作詞家、舞台美術家、小説家として活躍した。
ムーミンにつながる最初のイラストは、彼女が10代の頃、トイレに落書きした大きな鼻の生きもので、「スノーク」と書き添えられていた。34年、水彩画「黒いムーミントロール」を描く。鼻や体型はムーミンそのものだが、赤い目をした恐ろしい生き物として描かれた。トロールとは、北欧の神話に登場する醜い妖精である。
第2次大戦中、トーベは風刺画を量産し、その中にムーミントロールを登場させている。45年、童話の第1作『小さなトロールと大きな洪水』を出版。50年に発表した第3作『たのしいムーミン一家』が英訳されて英国で評判を得たことをきっかけに、54年からロンドンの夕刊紙「イブニングニュース」で週6日の連載マンガ「ムーミントロール」がスタートした。マンガは最盛期には40カ国、120紙に転載された。マンガの人気によって童話のムーミンも評判を呼び、44言語に翻訳されるまでになった。59年以降、連載は弟のラルス・ヤンソンに引き継がれ、60年から15年間、ラルスの作品として続いた。66年「国際アンデルセン賞」受賞。
童話の主な登場人物は、主人公のムーミントロールとその両親のムーミンパパ、ムーミンママ、ガールフレンドのフローレン、玉ねぎのような髪型と毒舌が特徴のリトルミイ、旅人のスナフキンなど。舞台となるムーミン谷に住む彼らの日常と冒険が物語となっている。69年、ムーミンは日本で初めてアニメ化され、65話がテレビ放映される。72年には52話、90年から92年にかけては104話が、日本で改めてアニメ化され放送された。90年からの最新のリメイク版では、トーベとラルスの監修によりオリジナルストーリーも多く作られ、フィンランドを始め約100カ国で放映されて、ムーミンブームを再燃させた。またポーランドでは、78年から82年にかけて全78話のパペット版アニメーションが制作され、日本語吹き替え版もDVDとBSテレビ放送で親しまれている。
70年、ムーミン童話の最終巻、第9作『ムーミン谷の11月』出版。2001年6月27日、トーベ死去。享年86。14年はトーベの生誕100周年に当たり、日本国内でも多くの記念行事が行われる。
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ムーミン
Mumin
フィンランドの作家ヤンソンが《ムーミン谷の彗星》《たのしいムーミン一家》などの主役として創造した想像上の生きもので,頭がカバ,体がブタを連想させる。ムーミントロル,ムーミンパパ,ムーミンママとスノーク兄妹がこの仲間に属する。全8巻の〈ムーミン・シリーズ〉は,原始を思わせるムーミン谷を舞台に非凡な着想の物語によって,自然の神秘と人間の生きる姿をみごとに描き,1966年国際アンデルセン大賞を受賞。
執筆者:神宮 輝夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ムーミン
①トーベ・ヤンソンによるフィンランドの児童文学「ムーミン」シリーズのキャラクター。「ムーミントロール」とも。ムーミン族の男の子で、房のついたしっぽと丸い体が特徴。作品は子どもから大人まで世界中で幅広い人気を誇る。
②①を原作とする日本のテレビアニメ。放映はフジテレビ系列(1969年10月~1970年12月)。制作:東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)、虫プロダクション。1度目のアニメ化。再放送や映像化は行われていない。
③①を原作とする日本のテレビアニメ。放映はフジテレビ系列(1972年1月~12月)。制作:虫プロダクション。2度目のアニメ化作品で、②同様再放送や映像化は行われていない。「新・ムーミン」とも。
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世界大百科事典(旧版)内のムーミンの言及
【ヤンソン】より
…フィンランドの女流童話・絵本作家。スウェーデン語で書いた空想の動物[ムーミン]を主人公にしたファンタジー童話〈ムーミン・シリーズ〉8巻(1945‐65)で国際的評価を得た。全員が弱点や欠点をもっているのに,互いの思いやりで,自由に,おおらかに自分らしく生きる世界をユーモラスに温かく描いた。…
※「ムーミン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」