メシチャニーン(英語表記)meshchanin

改訂新版 世界大百科事典 「メシチャニーン」の意味・わかりやすい解説

メシチャニーン
meshchanin

革命前ロシアの町人身分,小市民,転じて俗物の意。語源ポーランド語の〈都市住民mieszczanin〉。18世紀には都市民全体を,19世紀にはより狭く,下層市民(小商人,職人など)を指す。西欧史上の都市とブルジョアジーに比べると,ロシアでは一般に都市は行政的性格が強く,19世紀末でもブルジョアジーの数とその政治的影響力は小さく,富裕な商人身分(工場主をも含み,むしろ産業資本家と呼びうる)とメシチャニーンを合わせても都市居住者の半分余であった。成功した商人・資本家には,異端のラスコーリニキが多い。モロゾフシーシキントレチヤコフなどの大商人は芸術家保護,美術品収集,出版など文化活動に力を注いだ。しかし20世紀初頭,地主に代わって主導権獲得をめざすメシチャニーンをはじめとするブルジョアジーの政治活動が,ロシア革命発端の一因をなしたとして,近年注目されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android