メタ言語(読み)メタゲンゴ(英語表記)metalanguage

翻訳|metalanguage

デジタル大辞泉 「メタ言語」の意味・読み・例文・類語

メタ‐げんご【メタ言語】

metalanguage対象言語構造真偽を一段高い次元から論じる言語高次言語。→対象言語

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精選版 日本国語大辞典 「メタ言語」の意味・読み・例文・類語

メタ‐げんご【メタ言語】

※眼と耳の世界(1962)〈加藤秀俊〉マス・コミのなかの「マス・コミ」「『マス・コミ』という抽象度の高いメタ言語」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メタ言語」の意味・わかりやすい解説

メタ言語
めたげんご
metalanguage

高次言語ともいう。われわれはしばしば(言語を使って)言語について語る。そのとき、そこで話題とされる言語を「対象言語」とよび、それについて語るために使われる言語を「メタ言語」とよぶ。たとえば、英語文法について日本語で語る場合、英語が対象言語、日本語がメタ言語である。また、ある形式的な記号体系を日常言語によって定式化する場合、対象言語はその記号体系自体であり、メタ言語は日常言語である。

 対象言語とメタ言語とは、実際上同じ言語であってもよいが、しかし、ある記号や文がそのどちらに属するものとして使われているかを明確に区別しないと、とくに論理学意味論において奇妙な矛盾が生ずることがある。その典型的な例が、「うそつきのパラドックス」である。たとえば、「a」という記号を、「aは真なる文ではない」という文を指定するようななんらかの記述句の省略記号として使うならば、aが真なる文であるのは、「aは真なる文ではない」という文が真なる文であるときであり、したがってaが真なる文ではないときである。つまり、aが真なる文であるのは、aが真なる文ではないときである、ということになる。このような矛盾が生じるのは、「a」という記号(および「真である」という述語)が、対象言語とメタ言語の両方に属するような仕方で使われているからである。

[丹治信春]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メタ言語」の意味・わかりやすい解説

メタ言語
メタげんご
metalanguage

対象を直接叙述する言語にさらに言及する一段と次元の高い言語をさす。その場合次元の低い第1の言語は対象言語という。この両者は相対的な名称であり,ある言語自体がメタ言語であるか否かを問うのは無意味で,ほかの言語のメタ言語として用いられるとだけいうことができる。メタ言語は,C.W.モリスによって命名された記号論の3分野 (文章論 syntactics意味論 semantics,語用論 pragmatics) に応じて類型化されうる。たとえば「"このりんごは赤い"はこのりんごの実際の色を言い表わしている」は意味論上のメタ言語と呼ばれる。 (→記号学 )

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「メタ言語」の解説

メタ言語

プログラミング言語の定義を行うための言語のこと。言語記述言語とも呼ぶ。代表的なメタ言語の記法にBN記法があり、現在の多くの言語はこのBN記法で定義されている。

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世界大百科事典(旧版)内のメタ言語の言及

【意味論】より

…論理的意味論の基本的概念はいわゆる命名の理論と,いわゆる思考内容の理論の二つに分かれる。この分野では言語の意味特性の記述にはもはや自然言語では不十分で,メタ言語(記述を目的にした人工度の高い言語)が必要になる。論理的意味論を初めて詳細に研究したのはG.フレーゲで,その発展に寄与したのはポーランドのルブフ・ワルシャワ学派に属する論理学者たちJ.ルカシェビチ,T.コタルビンスキ,K.アジュキェビチ,T.タルスキ,その他ではR.カルナップ,W.クワインなどであり,この論理学的意味論は数理言語学,機械翻訳,自動情報処理などの発展に伴って広い応用領域がある。…

【記号】より

…たとえば,赤信号は〈危険!〉と自然言語に翻訳されて理解され,その逆ではない。自然言語のみが自然言語について語ることができ(言語についての言語,これをメタ言語metalanguageという),了解とは自然言語の,自然言語への翻訳にほかならない。アメリカの応用数学者C.E.シャノンは,意味とは翻訳の際の不変体である,という。…

【翻訳】より

…明治時代に日本人がいかにヨーロッパ文化の諸概念を取り入れ造語を行うことによって民族の文化と意識の更新を企てたかを考えるならば,このことは容易に理解されよう。
【言語内翻訳】
 こうした言語間翻訳の基礎をなすのが言語内翻訳であって,これは,たとえば,(a)同一文化に属する異なる話し手と聞き手が同一の自然言語でコミュニケーションをしたり,(b)同一個人が理解のために難しい語をやさしい語に言い換えたりする場合(日本語についていうなら,和文和訳)であり,後者は言語についての言語,メタ言語であり,一般に了解の基盤をなす。言語内翻訳の際にも,言語間翻訳と同じようなプロセスが生じているが,ふつう日常の対話などでは母国語の自然さゆえにそれが気づかれないのである。…

※「メタ言語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」