波紋形の意で,織物の表面に不規則に木目(もくめ)模様をあらわしたもの。琥珀(こはく)地やタフタ,ファイユのような細い横畝(よこうね)のある生地の表面をつぶして凹凸を作り,見る角度によって木目状の模様を生じさせる。2枚の織物を重ね,直角でなく少しずらせて熱ローラーの間を通して圧力をかけると,すだれの重なりにあらわれるような木目が凹凸によってあらわれる。またローラーの表面に加工する織物の緯密度に近い細い線を彫るとか,ローラーに木目模様を彫刻して,その間を熱圧しながら通すことによって生地の表面に同様の模様を表現する方法がある。天然繊維の織物は洗濯や使用中に消えやすいが,合成繊維のように熱可塑性のものはセットが効いて永続的な効果がある。婦人服,ガウンやリボンなど,また装飾織物に利用することが多い。
執筆者:宮坂 博文
2枚の回折格子を互いにわずかだけ傾けて重ねると,格子の刻線とほぼ直角に縞が見られ,格子の一方を刻線に垂直の方向に移動させると,この縞は移動方向に垂直の方向に移動する。縞のピッチは格子のピッチに比べてはるかに大きく,かつ格子の1ピッチ分の変位に対して縞は1ピッチ変位するので,変位が拡大されることになり,長さや角度の精密測定に利用される。また,もっと粗いピッチの格子を通して斜めに物体を照射し,これを異なる方向から同じ格子を通してみるときにあらわれるモアレ縞のパターンから,物体の三次元的形状を測定することができる。同様の手法を使って結晶格子のひずみが観察される。
執筆者:森村 正直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
目の粗い二枚の織物を重ね透かして見ると、重なり方によっては、波形模様(木目(もくめ)模様)が見られる。これは二枚の織り目の糸密度から生ずる、光の干渉によって生まれるもので、カーテンなどでよく見受ける。このモアレ模様を織物加工に施したものがあり、〔1〕横畝(よこあぜ)織物二枚を重ね合わせ、熱圧縮ローラー間を通して型付けする方法と、〔2〕木目を彫った熱圧縮ローラーで押型加工してつくられるものがある。
[並木 覚]
平行細線のような規則正しく分布した点や線を重ね合わせると、重ね合わせる角度によりさまざまな斑紋(はんもん)ができる。多色網版の印刷のとき、各版のスクリーン角度を誤るとモアレを生じて不体裁になる。
[平石文雄]
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