ヤシ(椰子)(読み)ヤシ

百科事典マイペディア 「ヤシ(椰子)」の意味・わかりやすい解説

ヤシ(椰子)【ヤシ】

狭義にはココヤシをさすが,広くはヤシ植物の総称。ヤシ科には約220属2500種があり,全世界の主として熱帯地方に分布する。すべて常緑,木本(もくほん)性でふつう幹は分枝せず二次肥大生長もせず,先端に大きな葉をむらがってつける,いわゆるヤシ型の樹形をつくる。また栽培も盛ん。ココヤシのように海流によって果実が運ばれ,全世界の熱帯地方に分布するものもあるが,フタゴヤシのようにアフリカ東部のセーシェル諸島中の一島にしか産しないものもある。全世界に広く分布するのはココヤシ属のほかフェニックス属など。アジアの熱帯にはニッパヤシ属,ビロウ属,トウ属,ビンロウ属,サゴヤシ属など,アフリカにはラヒアヤシ属,アメリカにはダイオウヤシ属やサバルヤシ属などが分布。日本にはビロウ,クログツ,ヤエヤマヤシノヤシが自生,シュロシュロチクカンノンチクケンチャヤシフェニックスなどが栽培される。形態もさまざまでダイオウヤシは高さ40mに達する直幹となるが,ニッパヤシでは地上茎がなく,茎は地中に横たわる。果実もフタゴヤシのように径25cmもあるものから,シュロの果実のように径1cm内外のものまでさまざま。またヤシは熱帯ではイネ科に劣らない重要な植物で,ココヤシ,アブラヤシナツメヤシサゴヤシ,サトウヤシなど食用のほか,建築材料,街路樹,庭木,油料植物として多面的に用いられるものも多い。
→関連項目観葉植物熱帯植物

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