ライト兄弟(読み)ライトキョウダイ

デジタル大辞泉 「ライト兄弟」の意味・読み・例文・類語

ライト‐きょうだい〔‐キヤウダイ〕【ライト兄弟】

米国の発明家ウィルバー=ライト(Wilbur Wright[1867~1912])とオービル=ライト(Orville Wright[1871~1948])の兄弟。自転車の製造販売業をしていたが、リリエンタール飛行実験に影響されてグライダーの製作を開始。1903年に複葉機を完成させ、人類初の動力飛行に成功。

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精選版 日本国語大辞典 「ライト兄弟」の意味・読み・例文・類語

ライト‐きょうだい‥キャウダイ【ライト兄弟】

  1. ウィルバー=ライト(Wilbur Wright 一八六七‐一九一二)とオービル=ライト(Orville Wright 一八七一‐一九四八)の兄弟。アメリカの航空技術者。一九〇三年、ノースカロライナ州キティホーク海岸で、人類初の発動機つき飛行機による飛行に成功、飛行機製作の先進的役割をはたした。

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改訂新版 世界大百科事典 「ライト兄弟」の意味・わかりやすい解説

ライト兄弟 (ライトきょうだい)

アメリカの飛行機開発者。兄はウィルバーWilbur Wright(1867-1912),弟はオービルOrville Wright(1871-1948)。牧師の子として生まれ,もともとは自転車製造業者であったが,ドイツの航空先駆者O.リリエンタールなどに刺激を受け,空飛ぶ機械を構想した。彼らの真の目的は,人類に翼を与えるというような抽象的なものではなく,またリリエンタールのように青少年の目を空へ向けるためのスポーツ志向でもなかった。彼らのねらいはロマンと同時に自分たちの工場の先行的製品の開発と考えられる。これは彼らがほかから資金援助を受けず,金銭の収支明細を記帳し,特許を固く防衛し,製作した飛行機をなんとかアメリカ陸軍信号兵団その他へ売り込もうとした事実から明らかである。このような意図は彼らの飛行機を実用的,かつ商品的なものに仕上げるために貢献し,最初の成功がそのまま製品へつながった珍しい技術開発の一例である。ただし,それまでに至る開発過程はきわめて系統的であったが,辛苦に満ちていた。彼らの工場があったオハイオ州デートンから,大西洋岸のノース・カロライナ州キティホークまで4年間通い続けて実験を繰り返したが,これは強い恒風の吹く土地をアメリカ気象局の資料によって調べた結果である。開発はたこからグライダー(有人)へ進み,つねに固有安定よりも人間の操縦による安定を目ざした点に彼らの卓見を見る。つまり,人間はなんのために飛行機に乗っているかを深く掘り下げ,それは操縦するためだと結論した。このため,主翼両端の後縁を左右弦で反対にねじる,現在の補助翼の原理を発見し,応用した。これによって,それまで昇降舵(だ)と方向舵しか考えられていなかった飛行機に,三次元の乗物として当然の3舵を与えた。これこそ兄弟の大革新であったが,そのために各種の難問を背負いこんで苦心した。しかし,その前すでに手製の風胴で主翼の翼型を実験的に選定するような基礎研究的態度で,補助翼と方向舵を使って横滑りのないつり合い旋回を実現し,この原理は現在に至っても変わっていない。

 兄弟は1903年12月17日キティホークで人類初の動力飛行に成功したが,そのためにはわずか4年半の年月を費やしたにすぎない。グライダーによる飛行で操縦の安定,さらに完全なつり合い旋回を完成すると,あとは手製のエンジン(部品は自動車産業から購入したであろう)を装着するだけで動力飛行への道は開けた。ただし,あまりにも個性的な設計,例えば自転車式のチェーンで1台のエンジンにより二つのプロペラを反対まわりに駆動する方式にこだわりすぎ,08年フランスで公開飛行をした後は,ライト機の全盛はたった1年にすぎなかった。その失望と,主翼ねじり特許の係争により心身ともに疲れた兄ウィルバーは病を得て没した。弟オービルは長生きしたが,以後はほとんどなにもしていない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライト兄弟」の意味・わかりやすい解説

ライト兄弟
ライトきょうだい
Wright,Wilbur and Orville

(兄)ウィルバー  Wilbur   1867.4.16. インディアナ,ミルビル近郊~1912.5.30. オハイオ,デートン 
(弟)オービル  Orville   1871.8.19. オハイオ,デートン~1948.1.30. オハイオ,デートン 
アメリカ合衆国の発明家兄弟で,航空の先駆者。同胞教会の高位聖職者の家に生まれ,幼年から機械類に優れた才能を発揮。ドイツのオットー・リリエンタールによるグライダーの飛行に興味をいだき,動力飛行の実現を目指して,おもに飛行機の空中制御機構の研究を進めた。 1902年秋から全重量 370kg,12馬力のエンジンを積んだ第1号機の製作にとりかかり,翌 1903年 12月 17日ノースカロライナ州キティホークでこれを飛ばし,人類初の動力飛行に成功した。その後も飛行機の改良に努め,ヨーロッパ各地で華々しい公開飛行を行なった。ウィルバーはライト航空会社を創立,オービルは研究者として,ともにアメリカ航空技術の発展に貢献。デートンにはライトの名を冠したアメリカ空軍の研究所がある。 (→ライト・フライヤー )

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百科事典マイペディア 「ライト兄弟」の意味・わかりやすい解説

ライト兄弟【ライトきょうだい】

米国の飛行機製作者。兄はWilbur Wright〔1867-1912〕,弟はOrville Wright〔1871-1948〕。共同で自転車店を営むかたわら飛行機を研究,グライダーによる飛行実験などののち,1903年12月17日ノース・カロライナ州キティ・ホークで,12馬力ガソリンエンジンを積んだ複葉機により,世界最初の動力飛行(この日の最高記録は滞空59秒,距離260m)に成功した。
→関連項目航空デートン二宮忠八飛行機

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ライト兄弟」の解説

ライト兄弟(ライトきょうだい)

(兄)Wilbur Wright 1867~1912,(弟)Orville Wright 1871~1948 アメリカの飛行機製作者。初めグライダーの実験を行い,複翼グライダーを1902年に試作し,03年これに発動機とプロペラを備えて人類最初の飛行に成功した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ライト兄弟」の解説

ライト兄弟
ライトきょうだい
Wright
(兄)Wilbur 1867〜1912
(弟)Orville 1871〜1948

ともにアメリカの飛行機発明家
1902年に試作した複翼グライダーに発動機とプロペラを付け,1903年ノースカロライナで59秒,260mの人類最初の直線飛行に成功した。

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世界大百科事典(旧版)内のライト兄弟の言及

【グライダー】より

…O.リリエンタールの墜落死(1896)以後,何人かの後継者がグライダーの改良を続けたが,その中の一人であるアメリカの鉄道技師シャヌートOctave Chanute(1832‐1910)は,複葉のグライダーを製作し,1000回を超える滑空に成功したうえ,飛行機械についての本も出版した。多くの彼への問合せの手紙の中には,ライト兄弟の兄ウィルバーのものもあり,ライト兄弟はシャヌートを師とし,彼らなりにも滑空実験を行った後,1903年12月17日の飛行機による初飛行に成功したのである。飛行機の発達によってグライダーは一時期忘れられた存在となったが,第1次世界大戦後飛行機の製造が制限されたドイツでは,グライダーの研究が盛んとなり,これが契機となってスポーツとしてのグライダーが世界的に普及した。…

【航空】より

…この未開の分野の開拓のため,リリエンタールをはじめ,多くの人が墜落して命を失った。 アメリカのライト兄弟は,滑空実験結果をもとに製作した機体に,重量が軽い割りに馬力のでるガソリンエンジンを積んだ飛行機で,1903年12月17日,世界最初の動力飛行に成功した。モンゴルフィエ兄弟による気球による人類最初の飛行よりちょうど120年も後だった。…

【飛行機】より

…この中で気球や飛行船は原理が簡単で楽に作れるので,早くも1783年にはフランスのモンゴルフィエ兄弟の気球で人類最初の飛行が行われた。しかし飛行機は原理的にむずかしく,実現までにはいろいろの問題を解決しなければならなかったので,それより120年も遅れて,1903年になって,やっとアメリカのライト兄弟の飛行機が人類最初の動力飛行に成功した。 しかしいったん道が開けると,飛行機のほうが進歩が速かった。…

※「ライト兄弟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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