ライル(Gilbert Ryle)(読み)らいる(英語表記)Gilbert Ryle

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ライル(Gilbert Ryle)
らいる
Gilbert Ryle
(1900―1976)

イギリス哲学者。オックスフォード大学教授を務めた。1954年著の『ジレンマ』に見られるように、言語表現における文法上の形式的同一性と概念上の論理的同一性との混乱を除去し、概念体系全体の「論理的地形」を明瞭(めいりょう)にすることによって、諸概念の相互連関とその個別的な役割を明確にすることが哲学の目的であると考えた。また、『心の概念』The Concept of Mind(1949)において、「機械の中の幽霊ドグマ」と名づけるデカルト的心身二元論が範疇誤謬(はんちゅうごびゅう)に源泉をもち、心身に関する多くの混乱を招いていることを示すと同時に、心的できごとに関する言明の理解は他人に観察可能なふるまいに依存しているという、行動主義的な見解を唱えた。また意味論の基本的要素が文章ではなく「語」であることを強調した。

[宮下治子 2015年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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