ラーテナウ(Walther Rathenau)(読み)らーてなう(英語表記)Walther Rathenau

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ラーテナウ(Walther Rathenau)
らーてなう
Walther Rathenau
(1867―1922)

ドイツの実業家、政治家。ドイツの電機工業界の中心的企業AEG(アーエーゲー)(アルゲマイネ電気会社)を創設したエミールを父とし、第一次世界大戦前からAEGや有力銀行の理事となり、1916年AEGを継承した。第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)直後、戦時経済体制の確立を提唱し、戦時原料局を設置させ、その後も軍需経済の組織化に協力した。第一次世界大戦後、ドイツ民主党に属す一方、経済専門家として、講和交渉の準備にかかわり、1921年ウィルト内閣の復興相、1922年には外相となり、連合国側との賠償交渉に参加、革命ロシアとの国交回復を内容とするラパロ条約に調印した。賠償の履行によるベルサイユ条約改定を唱え、さらにユダヤ系の出身であったことから、国粋派の攻撃の的となり、同年10月国粋派テロ組織に暗殺された。独特の時代批評や社会組織論でも高い評価を受けており、第二次世界大戦後、旧西ドイツで著作の全集が出版されている。

[木村靖二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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