翻訳|remix
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
録音された楽曲を素材としてさまざまな音響操作を加え、新たな音楽に再構成すること。一般にマルチトラック・テープ(複数の独立した録音トラックを持つテープ)に録音された各々のパートに対してミキシング処理(他のサウンドを混ぜること)、イコライジング(特定の周波数を強調または低減させること)、ミュート(特定のパートの音量を下げること)、エフェクト(サウンドの遅延や残響、歪みなどの特殊効果)を加え、あるいは新たな素材を加えたり減らしたりして、元の楽曲とは別のサウンドをもつ新たな楽曲を作成する作業を指す。
リミックスの起源はレコード・ビジネスのマーケティングに基づき、シングル/アルバムによって、あるいはリリースされる国や地域の微妙な嗜好の違いによって、ミックス・バランスを微妙に変えてレコードを発売していたことに発する。やがてディスコ文化の発達に伴い、ダンス・フロア向けにビートを強調し、楽曲の長さを延長してリミックスされたシングル(それまでの7インチのEPシングル盤に対し、LPレコードと同じ大きさの12インチ盤でリリースされた)が1970年代初頭に出現し、DJ向けのプロモーション用途を中心に広まり始める。80年代に入るとDJ自身がリミックスを行うことが普通になり、また既成のレコードを用いて新たな音楽を生み出すヒップ・ホップの方法論が広まったこともあって、リミックスという手法は一般化する。
その後リミックスは、ポップ・ミュージックにおける基本的な差異生産のメソッドとして用いられている。シングル盤には一つの楽曲の複数のリミックスが含まれていることは珍しくない。一つの楽曲に対して複数のリミックスが存在する状況は、これまで確固として保証されていた、音楽における「曲の同一性」と「作者性」の存立基盤を揺るがす一因ともなっている。
[増田 聡]
『椹木野衣著『増補版 シミュレーショニズム――ハウス・ミュージックと盗用芸術』(ちくま学芸文庫)』
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新