ルッサン塩(読み)ルッサンエン

化学辞典 第2版 「ルッサン塩」の解説

ルッサン塩
ルッサンエン
Roussin's salt

1857年にZ. Roussinによって合成されたので,この名称でよばれる.黒色塩と赤色塩の2種類が存在する.硫化アルカリ,亜硝酸塩硫酸鉄(Ⅱ)の各水溶液から,M[Fe4S3(NO)7]・H2Oの組成の黒色ルッサン塩が得られる.これを,アルカリ溶液に溶かして熱すると,M2[Fe2S2(NO)4]・4H2Oの赤色ルッサン塩になる.いずれも水に可溶.黒色塩は硬質な輝きをもった結晶.水溶液は暗黒色.鉄は四配位で,三配位のSで架橋した構造である.赤色塩は黒赤色の結晶で,粉末にすると赤褐色になる.黒色塩より不安定である.[Fe(CO)9]と同じくFe-Fe間に直接結合があるといわれている.[別用語参照]鉄カルボニル

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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