日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
レイ(Mikołaj Rej)
れい
Mikołaj Rej
(1505―1569)
ポーランドの詩人、小説家、翻訳家で、ポーランド・ルネサンス文学を代表する1人。父親は貴族であったが無学で、レイ自身も少年・青年期を狩猟や魚とりで過ごしたといわれる。ラテン語はすこし学んだが、ほとんどをポーランド語で書き、「ポーランド文学の父」と称されるに至った。1535年クラクフで処女作『貴族、代官、司祭三者間の短い論争』を出版、社会関係を詩的対話の形でヒューマニスティックに風刺した。『ユダヤ人ユゼフの生活』(1545)、『商人』(1549)も詩的対話ないし劇の形で書かれ、改革的精神に満ちた教訓的な作品である。総じてレイの作品は、当時の風俗の色彩あふれる百科事典とも評されている。
[吉上昭三]