レズギン族(読み)レズギンぞく(英語表記)Lezgini

改訂新版 世界大百科事典 「レズギン族」の意味・わかりやすい解説

レズギン族 (レズギンぞく)
Lezgini

ロシア連邦カフカス東部,ダゲスタン共和国とアゼルバイジャン共和国北部に住む民族。レズキ族とも表記する。人口46万6000(1989)。カフカス諸語のダゲスタン語群に属するレズギン語を用いる。かつては南ダゲスタンのいくつかの民族がレズギンの名で総称されていた。有名な男性舞踊レズギンカも特にこの民族に固有なわけではない。古代・中世にはキリスト教が浸透したが,中世後期にはイスラム(スンナ派)化が進んだ。18世紀に彼らは恒常的にグルジア東部,アゼルバイジャン北部を略奪したため,イラン政府は対策に苦慮し,当時のグルジア文学は彼らに対する怨嗟(えんさ)に満ちている。レズギン族の社会は国家を形成せず,小共同体の集合の域を出なかった。今日でも農牧業に従事する者が多いが,伝統工芸では絨毯(じゆうたん)製造が有名である。文章語は発展しなかったが,口承文芸ではスレイマン・スタルスキー(1869-1937)のようなアシュク民謡,伝承の語り手)を生んだ。レズギン語の詩作は19世紀に始まった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android