ワイラス文化(読み)わいらすぶんか(英語表記)Huaylas

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワイラス文化」の意味・わかりやすい解説

ワイラス文化
わいらすぶんか
Huaylas

1世紀から8世紀ころ、ペルー北高地南部に栄えた文化で、レクワイ文化ともいう。ブランカ山群とネグラ山群に挟まれたカイエホン・デ・ワイラスの谷間や山脈両側の斜面を開発して農地とし、4000メートル以上の高原ではラマアルパカ牧畜を営んだ。首長、戦士、従者農民など階層化した社会を構成し、戦争もよくあったらしく、山上要塞(ようさい)も築かれている。谷間の遺跡は洪水などで崩壊しているが、独特の様式の石彫が建物に付属していたようである。石彫には盾、棍棒(こんぼう)、首級を持つ戦士の丸彫り、ジャガーの頭をかたどった釘(くぎ)状頭像(壁にはめ込んでいたもの)、人間とジャガーを配した神話的モチーフの浮彫りなどがある。ワイラス文化のもう一つの特徴は、白いカオリン陶土でつくった土器で、ネガティブ彩色で装飾を施した壺(つぼ)や鉢が多い。また、家屋、人物、動物を立体的に表現した象形土器もある。

[大貫良夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android