一の人(読み)イチノヒト

デジタル大辞泉 「一の人」の意味・読み・例文・類語

いち‐の‐ひと【一の人】

朝廷儀式で第一の席につくところから》摂政関白、または太政大臣左大臣異称。一のところ
「―の御ありさまはさらなり」〈徒然・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一の人」の意味・読み・例文・類語

いち【一】 の 人(ひと)

最高の権力者。左大臣(内覧宣旨を有する)、太政大臣にもいうが、おもに摂政関白をさす。第一の座に着くことを許す宣旨が与えられる例になっているところからいう。鎌倉中期以後は、五摂家家長および直系血族をもいう。一の所(ところ)
※宇津保(970‐999頃)吹上下「世の中の一の人のめにてなん侍し」
※枕(10C終)八八「一の人の御ありき」

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世界大百科事典(旧版)内の一の人の言及

【摂関政治】より

…また摂関政治のもとでは,里内裏(さとだいり)が盛行し,里内裏=摂関邸が政治の場となり,政所がその執行機関となったという説もあるが,実際にはこの時代の里内裏の設置は,まだ臨時かつ短期間にとどまり,ときには摂関がその邸宅を仮皇居に提供することはあっても,摂関はその間他所に転居するのが常であるから,里内裏=摂関邸とする見解は適切でなく,この面からも,いわゆる政所政治論は成り立たない。 こうして摂政・関白は,〈一の人〉として廟堂の首位を占め,百官・諸司を率いて朝儀・公事を運営したのであるが,その地位を根底で支えたのは,天皇との外戚関係である。良房が人臣最初の摂政となったのも,彼が藤原氏では初めて在世中に外祖父となった好運によるところが大きい。…

※「一の人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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