七宝焼(読み)シッポウヤキ

デジタル大辞泉 「七宝焼」の意味・読み・例文・類語

しっぽう‐やき【七宝焼(き)】

金属などの表面ガラス質色釉いろぐすりを焼きつけて模様・絵などを表す装飾工芸。有線七宝無線七宝透明七宝などがある。七宝流しエマーユ

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精選版 日本国語大辞典 「七宝焼」の意味・読み・例文・類語

しっぽう‐やき【七宝焼】

  1. 〘 名詞 〙 ふつうには銅または金、銀などを下地にして、面にくぼみをつくり、そこに金属の酸化物を着色材として用いた透明または不透明のガラス質の釉(うわぐすり)を埋め、それを焼きつけて花鳥、人物など種々の模様を表わし出したもの。七宝の名は、仏典に七種の金属、宝石類を七宝と呼んだところから、初め貴金属、宝石類の多彩な装飾の形容として用いたが、のち、転用されたとみられる。世界における歴史は古く、日本では平安時代に作られた。一時中絶したが、桃山時代から復活し、江戸初期にかけて行なわれ、特に平田道仁は七宝によって幕府に仕え、代々継承されたが、その技法は広まらなかった。盛んになったのは幕末からで、天保年間(一八三〇‐四四)尾張国(愛知県)海東郡服部村の梶常吉が、オランダの七宝を研究し、成功したのにはじまる。七宝流し。七宝。
    1. [初出の実例]「巴里に於て今日に至り人々尤も愛貴する我国の産は、広東焼七宝焼に如く者なし」(出典:匏菴十種(1869)〈栗本鋤雲〉暁窓追録)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「七宝焼」の解説

七宝焼
しっぽうやき

銅・金・銀・陶磁器母胎として,金属酸化物を主色剤に使った色ガラスを盛りつけて焼きあげ,文様を表す加飾法。その色彩が仏典のいう七つの宝物に似るという意味で七宝という。日本では飛鳥時代のものが出土し,正倉院にも収蔵されるがあまり発展せず,桃山時代になって再び流行し,江戸時代には平田道仁(どうにん)がでて,家具調度や建築用材,刀剣の装飾に工夫をこらした。幕末期に梶常吉が中国やオランダに学んで隆盛させた。

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