万積の乱(読み)まんせきのらん

改訂新版 世界大百科事典 「万積の乱」の意味・わかりやすい解説

万積の乱 (まんせきのらん)

朝鮮,高麗武人政権時代の奴隷反乱。1170年に鄭仲夫ら武臣のクーデタで文臣政権が倒れ武人政権が出現したが,武人相互の殺し合いで政情不安が続いた。その時期に農民賤民の一揆反乱が続発したが,98年(神宗1年)私奴万積ら6人が公私の奴隷を集め,日を定めて一斉蜂起し,まず最高権力者崔忠献を殺し,私奴はそれぞれ主人を,官奴は宮城内で役人を殺し,奴隷の戸籍台帳を焼いていっさいの公私奴隷を解放しようと提案した。みな賛成したが,約束の日には数百人しか集まらなかったので,日を改めて蜂起することにした。しかし密告によって計画が暴露され,首謀者万積ら100余人が殺され反乱は未発に終わった。しかし高度の目標をかかげた点で奴隷解放史上の注目すべき反乱であった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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