三世相(読み)サンゼソウ

デジタル大辞泉 「三世相」の意味・読み・例文・類語

さんぜ‐そう〔‐サウ〕【三世相】

仏教因縁説に陰陽家おんようけ五行相生・五行相剋そうこくの説をまじえ、人の生年月日干支えと人相などから、三世因果吉凶を判断すること。また、それを書いた書物
人の吉凶・禍福などが循環して定まらないこと。

さんぜそう〔サンゼサウ〕【三世相】

三世相錦繍文章さんぜそうにしきぶんしょう」の通称

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精選版 日本国語大辞典 「三世相」の意味・読み・例文・類語

さんぜ‐そう ‥サウ【三世相】

[1] 〘名〙
① 仏教の因果説と卜筮(ぼくぜい)の法と陰陽家の五行相生相剋の説とを交え、人の生年月日・人相などから、過去・現在・未来にわたる三世の因果・吉凶・善悪を判断すること。また、それを説いた書物。唐の袁天綱の著をもととし、日本では江戸時代にその通俗書が多くでた。
※室町殿日記(1602頃)九「あるときもろこしよりも博士のわたりてさかいにしばらく滞留し、三世相をうらなひ、判をはんじける」
※浮世草子・渡世身持談義(1735)一「三世相(サンゼソウ)に書ける、前生にては赤帝の御子なり」
② 人の吉凶や禍福などがめぐりめぐって定まることがないこと。
浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)座摩社「手を引(ひき)主従三世相(サウ)。二世を兼たる妹背鳥忍び入るこそわりなけれ」
[語誌](一)①について、室町時代においては、占卜に関する書物一般を指す普通名詞は「雑書」であったが、江戸時代に入ると、この種のものの呼称としては、「三世相」が一般的になった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三世相」の意味・わかりやすい解説

三世相
さんぜそう

歌舞伎狂言舞踊曲名本名題三世相錦繍文章 (にしきぶんしょう) 』。作詞3世桜田治助。作曲5世岸沢式佐。全段が常磐津節であることが特徴。安政4 (1857) 年江戸中村座初演。お園と六三郎の心中事件を題材に,愛想づかし,心中道行,冥土風景,子別れなど,さまざまな趣向を芸者お園の夢のなかで展開させる,江戸文芸のしゃれがきいた狂言。大当りとなったが,常磐津の豊後派と岸沢派の間で功名争いが起き,両派分裂の原因となった。

三世相
さんぜそう
San-shi-xiang

過去,現在,未来 (三世) の因果吉凶を仏教,卜筮,陰陽五行の説などと各人の生年月日,人相などから解明できるとした考え。唐の袁天綱の創始にかかるといわれ,日本では,江戸時代,この考えを日常生活に必要な十干十二支,上弦下弦の月,日食月食,夢判じ,まじないなど 208項目について百科全書的に絵入りで解説した『三世相』という本が流行した。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「三世相」の解説

三世相
(通称)
さんぜそう

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
三世相錦繍文章
初演
安政4.7(江戸・中村座)

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