新撰 芸能人物事典 明治~平成 「三門博」の解説
三門 博
ミカド ヒロシ
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報
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昭和期の浪曲師
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
浪曲家。本名鈴木重太郎。長野県松本市の生れ。上京して初めは,東若武蔵の一座にはいったが,1927年から名古屋へ行き,約10年間をこの地で過ごした。この名古屋時代が三門の芸を形づくったと言われ,有名な《唄入観音経(うたいりかんのんきよう)》もすでにこの間にその基礎はできあがっていた。37年にレコードに吹き込んだ《唄入観音経》は,新内や小唄の節調なども取り込んだ軽快,かつ変調に富んだもので,これが忠君愛国の〈軍事浪曲〉全盛の時代にかえって喜ばれ,たちまち200万枚という空前の大ヒットとなり,〈三門ぶし〉は一世を風靡(ふうび)することとなった。ほかに《宝の入船》《男の花道》などを得意とし,戦後は日本浪曲協会会長もつとめた。
執筆者:川添 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…浪花節の演目。講釈ねたの《木鼠吉五郎(きねずみきちごろう)》に取材して畑喜代司が脚色したものを昭和初期に三門博(みかどひろし)が口演,〈遠くちらちら灯りがゆれる……〉の名調子が評判になって一世をふうびした。盗賊の木鼠吉五郎に助けられた百姓の甚兵衛が,その恩にむくいるため《観音経》を覚えるはなしだが,三門博は《一休禅師》に経を読むくだりがあることに想を得て,《唄入観音経》の売物に仕立てた。…
… このように各派に名手が輩出して全国に流行した浪花節も,大正中期以後,落語,講談とともに映画の進出に圧倒されて衰退の傾向をたどっていたが,昭和時代にはいって,満州事変以後,太平洋戦争にかけて,国家主義的な時代風潮を背景にして,ふたたび隆盛の様相を呈した。この時期には,《壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)》の浪花亭綾太郎(1893‐1960),《佐渡情話》の寿々木米若(すずきよねわか),《天保水滸伝(すいこでん)》の2代玉川勝太郎,《清水次郎長伝》の2代広沢虎造,《紀伊国屋(きのくにや)文左衛門》の梅中軒鶯童(ばいちゆうけんおうどう),《赤城の子守唄》の春日井梅鶯(ばいおう)(1908‐74),《義士伝》の3代吉田奈良丸,《恩讐(おんしゆう)の彼方に》をはじめとする文芸浪曲の酒井雲(さかいくも)(1899‐1973),《唄入り観音経》の三門博(みかどひろし)(1907‐ ),《野狐三次(のぎつねさんじ)》の東家浦太郎(1919‐ ),《灰神楽(はいかぐら)三太郎》の相模(さがみ)太郎(1899‐1972),七色の声を使い分けた女流浪曲の雄2代天中軒雲月(伊丹秀子(いたみひでこ))など多くの人気者があらわれ,レコード,ラジオの普及,〈浪曲映画〉による映画とのタイアップなどによって,それ以前にも見られなかったほどに浪花節が大衆のなかに浸透していった。
[戦後の浪曲界]
第2次大戦後は,軍事物や義士物など封建的演題への反動によって不振をきわめていたが,しだいに復活して,浅草国際劇場や明治座などの大劇場において浪曲大会を開催したこともあり,民間放送発足以来,大衆芸能の主要な種目としての座を獲得し,浪曲台本の専門作家も多く見られるようになり,一方,〈浪曲天狗道場〉のようなラジオ聴取者参加番組も製作された。…
…1930年村松梢風の主宰する雑誌《騒人》に掲載され,31年,13世守田勘弥を主役に初演されたが,のち実母と再会した著者の意向で,46年まで上演が見あわされていた。その間に,講談,浪曲などでは盛んに脚色口演され,浪曲の三門(みかど)博,伊丹秀子らが十八番とした。生き別れた母を求めて,さすらいの旅に出ていた番場忠太郎(ばんばのちゆうたろう)が,再会した母から,やくざ姿であるがゆえに息子であることを否定され,また旅に出るという,アウトローを描いた股旅(またたび)物の傑作。…
※「三門博」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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