三陸鉄道(株)(読み)さんりくてつどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三陸鉄道(株)」の意味・わかりやすい解説

三陸鉄道(株)
さんりくてつどう

岩手県の三陸海岸に沿って走る路線をもつ民営鉄道。日本国有鉄道(国鉄)の地方交通線廃止に際し、その代行として地元の公共団体や民間の出資により会社を設立して鉄道営業を行う「第三セクター方式」の最初の例となった。1981年(昭和56)に設立され、1984年に営業を開始した。当初、路線は久慈(くじ)―宮古(みやこ)間の北リアス線(71.0キロメートル)と、釜石(かまいし)―盛(さかり)間の南リアス線(36.6キロメートル)に分かれていた。このうち久慈―普代(ふだい)間、田老(たろう)―宮古間、吉浜(よしはま)―盛間は、国鉄がそれぞれ久慈線、宮古線、盛線として営業していたものを引き継いだ路線である。また普代―田老間と釜石―吉浜間は、日本鉄道建設公団(現、鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が国鉄新線として建設中であったものを切り替えて完成させた。2011年(平成23)3月11日の東日本大震災により全線不通となったが順次復旧が行われ、2014年4月に南リアス線(4月5日)と北リアス線(4月6日)ともに全線で運転を再開した。2019年3月には東日本旅客鉄道JR東日本山田線の宮古―釜石間55.4キロメートルが移管され、南・北リアス線と統合して盛―久慈間163キロメートルがリアス線として運行を開始した。全線単線、非電化。これにより三陸鉄道は第三セクター鉄道でもっとも長い路線をもつ会社になった。

[和久田康雄・青木 亮 2019年9月17日]

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