上書(読み)うわがき

精選版 日本国語大辞典 「上書」の意味・読み・例文・類語

うわ‐がき うは‥【上書】

〘名〙
書状、書物、箱などの表面宛名(あてな)名称外題(げだい)などを書くこと。また、その文字。おもてがき。うわづけ。⇔裏書
伊勢物語(10C前)一三「うはがきに、『むさしあぶみ』と書きておこせてのち」
パソコンワープロで、すでに打ち込んであるデータの一部に重ねて新しいデータを加えること。普通、それによって元のデータは自動的に削除される。
相場がある一定値段より上にあること。〔取引所用語字彙(1917)〕

じょう‐しょ ジャウ‥【上書】

〘名〙 意見を述べるために主君・上官などに書状を奉ること。また、その書状。上疏(じょうそ)
※続日本紀‐神亀五年(728)八月甲午「正五位守部連大隅上書乞骸骨
史記抄(1477)一二獄中から上書するぞ」 〔史記‐封禅書〕

あげ‐がき【上書】

〘名〙 平出(へいしゅつ)一つ天皇陛下神仏などの文字を、行(ぎょう)を改めて本文の行より一字高く書くこと。
和英語林集成再版)(1872)「Agegaki アゲガキ 跳出」

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デジタル大辞泉 「上書」の意味・読み・例文・類語

うわ‐がき〔うは‐〕【上書(き)】

[名](スル)
封書・書物・箱などの表面にあて名・表題・名称などを書くこと。また、その文字。表書き。「荷物上書きする」
コンピューターのファイルや記録メディアにデータを記録する際、もとのデータの上に新しいデータを書き込むこと。または、文字入力の際に、もとの文章の上に新たに書き込むこと。オーバーライト。重ね書き。

じょう‐しょ〔ジヤウ‐〕【上書】

[名](スル)官庁や主君・貴人などに意見を述べた書状を差し出すこと。また、その書状。上疏じょうそ。「住宅政策について上書する」

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改訂新版 世界大百科事典 「上書」の意味・わかりやすい解説

上書 (じょうしょ)

臣下からその主人へ上(たてまつ)る意見を開陳した書面。言上書ともいい,後世の上申書,建白書に同じ。元来は中国の名辞で,天子に書を奉(たてまつ)ること,またその文体の名であって,単なる事物に関する報告書,答申書よりは積極的であり,江戸時代中期,政治・経済について改革の意見を幕府や藩に上呈した建言書を言い,重みがある。《山下幸内上書》《蘆野東山上書》などが名高い。
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普及版 字通 「上書」の読み・字形・画数・意味

【上書】じよう(じやう)しよ

上奏の文。〔鶴林玉露、甲六、斬檜書〕胡澹庵(銓)上書して、秦檜を斬らんことを乞ふ。金之れを聞き、千金を以て其の書を求め、三日之れを得たり。君臣色を失ひて曰く、南に人りと。

字通「上」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の上書の言及

【奏議】より

…中国における文章の一形式で,臣下が君主に上(たてまつ)る意見書のこと。古くは上書といい,漢代では章,奏,表,議などといった。魏・晋時代以後は啓といい,唐・宋時代では表,状,剳(さつ),書などともよばれた。…

【表】より

…漢文の文体の一種で,臣下が君主に奉る書をいう。中国では,秦まではこの種の書信をすべて〈上書〉と呼んだが,漢になって,内容により章,奏,表,議などの区別をするようになった。《文心雕竜(ぶんしんちようりよう)》によれば,表はことに君主への〈請を陳(の)べる〉ものとされる。…

※「上書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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